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laboratik 職場でのオープンなコミュニケーションは、どのように従業員エンゲージメントに影響するのか?

職場でのオープンなコミュニケーションは、どのように従業員エンゲージメントに影響するのか?

皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。今日は、職場でのオープンなコミュニケーションが従業員エンゲージメントに与える影響に関する、大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Ampの「How open and honest communication impact employee engagement」を日本の読者様向けに訳したものです。

目次

  1. オープンで誠実なコミュニケーションは、従業員エンゲージメントに影響を与えている
  2. 高いエンゲージメントと低いエンゲージメントの従業員を比較する
  3. 企業の経営層からのコミュニケーション
  4. 経営層は士気の高まるビジョンを伝える
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チームで働くことや、従業員エンゲージメントでは、コミュニケーションが大きな影響を与えているというのは、誰もが知るところではないでしょうか。コミュニケーションと協働や従業員エンゲージメントの関係性を理解するために、Culture Amp社のInsightsディレクターであるDavid Ostberg氏と、The Alliance: Managing Talent in the Networked Ageの共著者であり、Allied Talentの共同創設者であるChris Yeh氏が、1時間のウェビナーでコミュニケーションとエンゲージメントに関する研究を発表しました。
以下は、彼らが議論した概念とデータの概要です。

なぜ、従業員のエンゲージメントが重要なのか?

Culture Amp社では、従業員のエンゲージメントを、「個人が組織に対して感じるつながり、動機付け、コミットメントの程度」と定義しています。Davidは、「具体的に、Culture Amp社の調査票では、エンゲージメントを5つの主要な質問で測定しており、これを従業員エンゲージメント指数と呼んでいます。この従業員エンゲージメント指数は、エンゲージメントの中でも中核をなす指標であり、計測しているのは従業員の幸福や満足だけではありません。」と言います。

それではなぜ、なぜ従業員のエンゲージメントが重要なのでしょうか?エンゲージメントが高い従業員は組織に定着する傾向が高く、離職が低減されます。このような従業員の方々は、より良い企業文化の醸成にに貢献したり、生産性がも高く、病欠も少ないことが分かっています。

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実際の資料

オープンで誠実なコミュニケーションは、従業員エンゲージメントに影響を与えている

New Tech Benchmarkで、Culture Amp社は、150社以上のデータと6万人以上の従業員からの回答を分析しました。エンゲージメント調査の質問項目の中で、従業員エンゲージメントのドライバー(牽引する要素)となる上位10項目が判明しました。Davidは、「この10のドライバーは、組織全体で意識すべき領域と言えます。というのも、このドライバーは、従業員の仕事や生活の側面を改善し、従業員エンゲージメントの改善が見込める領域なのです。」と説明しています。

従業員エンゲージメントを促進する10項目のうち、3項目は、次のようにコミュニケーションに関連しています。

  1. 従業員は、書面等で記載された職務内容が、現在の従事している職務文章・役割と合致しており、満足していると感じている。
  2. リーダー(経営層)は、自社の従業員が士気を高めるようなビジョンを伝えている。
  3. 従業員は、オープンで正直な双方向のコミュニケーションを社内で経験している。
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New Tech企業における従業員エンゲージメントの主要なドライバー10項目のうち、コミュニケーションにひもづく3項目(Culture Amp社の元データより)

高いエンゲージメントと低いエンゲージメントの従業員を比較する

エンゲージメントに影響を与える5つの調査項目の点数を比較すると、コミュニケーションの影響は明確です。以下のチャートは、従業員エンゲージメントの高い企業の上位10%と下位10%を示しています。上位4つの項目(以下の画像データの内容)はすべてコミュニケーションに関連しています。たとえば、Culture Amp社の調査では、最初の項目「事業目的に即して、効果的に資源を配分している」で高いスコアを獲得する企業は、自社の資源を適切に配分するだけでなく、資源配分に関する意思決定を、全社に適切に伝えることにも優れていることが判明しました。

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会社間の従業員エンゲージメントの点数比較

次のセクションでは、コミュニケーションの重要性と、自社の従業員が士気を高めるようなビジョンを伝えていくことの重要性を見て行きましょう。

企業の経営層からのコミュニケーション

経営陣のコミュニケーションは、テック系企業だけでなく、全ての業界で一貫して従業員のエンゲージメントを促進する要因です。

Allied Talentの共同創設者であるChris Yeh氏は次のように述べています。
「高いエンゲージメントを持つ従業員と優れたマネージャーを本当に区別する要素は、コミュニケーションに関連するものです。誰かがあなたの進捗について話しかけてくれたとか、誰かがあなたの成長を支援しようとしてくれたとか、そういったコミュニケーションです。そして、興味深いのは、オープンで誠実なコミュニケーションの切先には、キャリア開発がもたげているということです。」

マネージャーと従業員が先々のキャリア(キャリア開発)をフランクに話し合うことで、信頼とより高いエンゲージメントの基盤を築いているのです。

高いエンゲージメントを持つ従業員と優れたマネージャーを本当に区別する要素は、コミュニケーションに関連するものです。誰かがあなたの進捗について話しかけてくれたとか、誰かがあなたの成長を支援しようとしてくれたとか、そういったコミュニケーションです。そして、興味深いのは、オープンで誠実なコミュニケーションの切先には、キャリア開発がもたげているということです
— Chris Yeh、Allied Talentの共同創設者

Chris Yeh氏の引用を日本語に翻訳

従業員エンゲージメントは、採用候補者として自社と関わった時から始まります。Davidは、「だからこそ、採用面談は、仕事の実態について、候補者と誠実かつオープンに話し、自社から候補者に対して期待する点を設定し、信頼や『心理的安全性』を築く機会なのです」と話します。

関連して、Chrisは、古くからある面接の質問である「5年後の自分はどうなっていますか?」を、オープンで誠実なコミュニケーションを促進したいときに尋ねてはいけない質問例として挙げています。
彼は、「この質問をすると、面接者は候補者に対して『私は、あなたの本心に蓋をして、お互いに合意できる想定解答をしてほしいのです。そうしたら、次のプロセスに進ませましょう』と言っていることになります。」と警鐘を鳴らしています。

面接の王道である5年後の質問の代わりに、Chrisは、採用候補者に対して「この会社を去った後にどんな仕事をしたいですか?」と尋ねることを提案しています。この質問は、LinkedInのエンジニアリング担当副社長であるKevin Scottが、最初に使い始めたと言われています。この質問は、目の前にいる採用候補者が、一つの会社に留まらない前提を持って行う、大胆なアプローチでもあります。「この前提を認め、オープンかつ誠実に前提と向き合うことで、従業員のエンゲージメントに必要な情報を収集しているのです。」とChrisは述べています。

経営層は士気の高まるビジョンを伝える

具体的な例として、ChrisはAirbnbのCEOであるBrian Cheskyの話をしています。「Brianが一貫して行ってきたことは、Airbnbののあるべきか?というビジョンの伝え方でした。伝え方には、複数の要素があります。まず、非常にシンプルなストーリーを決めること。そして、そのストーリーを何度も繰り返すことです。Airbnbのストーリーは、すべてがホスピタリティに関するものです。ホテルビジネスではなく、ホスピタリティビジネスであり、単なる部屋ではなく体験を提供することです。」とChrisは説明しています。

BrianはAirbnbのストーリーをどのように語るのかを、最初から意図的に行ってきました。しかし、CEOの言葉だけが重要なわけではありません。Chrisは、「話したストーリーに関連する行動や取り組んだこと、そのコミットメントが目にみえるというのも重要です。Brianが行ったことの1つは、Pixarのアニメーターの一人を雇い、休暇に行きたいと思った時点から全体のプロセスをストーリーボードにまとめることでした。」と述べています。これにより、Brianは抽象的なビジョンを具体的な視点に落とし込むことができたのです。Chrisによると、このストーリーボードはAirbnb本社にあり、建物に入ると見ることができます。ビジョンを複数の方法で伝えていくことで、ビジョン自体がより強化されていったのです。

Davidは、「基本的に、リーダーシップや経営幹部・リーダーが、自社の戦略、方向性、および関連する具体的な詳細を、過剰に伝えていることなどあり得ません」と断言しています。
ChrisとDavidがウェビナー全体を通じて示すように、コミュニケーションは単に要点を伝えるにとどまりません。エンゲージメントを促進する効果的なコミュニケーションは、必要な領域を特定した戦略的なものなのです。

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