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サステナビリティが従業員エンゲージメントに与える影響

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皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。今日は、サステナビリティと従業員エンゲージメントの観点で書かれた、大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Amp社の「An eco-work ethic? How sustainability influences employee engagement」を日本の読者様向けに訳したものです。

目次

  1. 科学的な根拠に基づいた目標を設定することで、従業員エンゲージメントが2%ほど向上
  2. 目標設定することは良いことだが、真のコミットメントを持てれば更に意味深いものとなる
  3. 目標を設定することは良いことですが、真摯な取り組みを持つことの方が従業員エンゲージメントに大きな影響を与えている
  4. 持続可能性へのコミットメントは、あらゆる年齢層の人々にとって重要である
  5. 企業の4分の3は、従業員が自社の持続可能性へのコミットメントをどのように認識しているかを把握していない
  6. 持続可能性に関する洞察から行動へ
  7. 地域ボランティアへの参加を検討する
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昨今、社会的な影響や持続可能性(サステナビリティ)は、気候変動や環境問題への懸念が強まるにつれ、年間を通じて企業文化にとってますます重要な意識となっています。また、持続可能性ーサステナビリティへの注目が高まる背景には、従業員から一定の需要や、人材がどんな企業で働くのかといった採用にも影響していると言われます。

2023年にデロイトが約2万3,000人の従業員を対象に行った調査によると、「回答者の55%が、就職を決める前にブランドの環境への影響や方針について調べると回答し、40%以上が、気候変動への懸念からすでに転職しているか、転職する予定があると回答している」というのです。非常に多くの人が、こういった点を懸念している証左でもありました。求職者が仕事を受ける前に環境方針を考慮するのであれば、企業はこの問題を真剣に受け止めざるを得ません。

カルチャーアンプ社では、社内外を問わず環境保護に真剣に取り組んでいます。実際、同社では、ネットゼロ計画を発表しています。

本記事では、持続可能性と従業員エンゲージメントの関係を掘り下げ、社会的インパクトへの真のコミットメントをどのように示すかをご紹介していきます。

まず、調査結果を見てみましょう。

調査では、持続可能性と社会的インパクトに関する質問に対するアンケートの回答が、実際の行動に結びつくかどうかを調べることにしました。具体的には、サステナビリティを重視する企業は、従業員のエンゲージメントが高いのでしょうか?という問いを立てたのです。

科学的な根拠に基づいた目標を設定することで、従業員エンゲージメントが2%ほど向上

まず、科学的根拠に基づく目標を設定し、気候変動に対して行動を起こしているカルチャーアンプの顧客109社のデータを調査しました。243,235人の従業員からの回答から、わずかではあるが意味のある違いを発見したのです。これらの企業は、コントロールグループ(業種、地域、企業規模、従業員の勤続年数、従業員の年齢でマッチング)よりもエンゲージメントが2%ポイント高いことが分かりました。最も大きな影響を与えたのは従業員のコミットメントで、科学的根拠に基づいた目標を掲げている企業の従業員は、2年後にその企業で働きたいと考える可能性が4%ほど高くなりました。このようなコミットメントの向上は、環境行動と職場へのロイヤリティが直接結びついていることを示唆していると言えます。

科学的根拠をもとに目標を設定している企業は、そうでない企業よりも、全体のエンゲージメントが2%ほど高い結果になった

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カルチャーアンプ社のデータより

当然のことながら、単に目標を設定する行為は、企業の環境への取り組みにおける「真の姿(実施しているかどうか)」に比べたら、あまり影響力を持ちません。従業員は、グリーンウォッシング(製品、方針、活動などを、実際よりも環境に優しい、あるいは環境破壊が少ないように見せかける行為や慣行)が実際に社内で実施されているかといった証拠を探すのも事実です。そして、従業員のグリーンウォッシングに対する感度が、会社へのエンゲージメントに影響を与えることが判明しています。

目標設定することは良いことだが、真のコミットメントを持てれば更に意味深いものとなる

環境への持続可能性に真剣に取り組んでいると見なされる企業の従業員は、エンゲージメントレベルが大幅に16%向上したと報告しています。この効果は、年齢層ごとのわずかな差はあるものの、幅広い層に一貫して見られ、持続可能性への真摯な取り組みが普遍的な魅力を持つことを示しています。このデータは、世界中の1000社以上、約40万人の従業員から得られたものなので、慎重に考慮すべきものと捉えています。

目標を設定することは良いことですが、真摯な取り組みを持つことの方が従業員エンゲージメントに大きな影響を与えている

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カルチャーアンプ社のデータより

従業員が自社に対して持続可能性への真摯な取り組みがあると感じた場合、彼らは一層やる気を持って期待以上の成果を上げようとし、短期的にも長期的にも会社に対するコミットメントが高まり、全体的に会社に対してより熱意を持つようになります。

これらの調査結果は、より広範な傾向を反映しています、とサステナビリティリーダーのエラ・マッキンリーは述べています。

「従業員はグリーンウォッシングに敏感であり、表面的なコミットメントではなく、実際の行動を求めています。私たちが目にしているのは、従業員がサステナビリティに対してますます高い基準を企業に求めているということです。彼らは本当に行動を起こし、変化をもたらそうとしているリーダーを見たいのです。」

持続可能性へのコミットメントは、あらゆる年齢層の人々にとって重要である

サステナビリティとエンゲージメントの関係は、世代によるものではないようです。年齢による違いを見てみると、私たちはジェネレーションZの従業員が持続可能性や社会的影響への真摯な取り組みに最も動機づけられていると予想しました。その通りではありましたが、彼らの反応はミレニアル世代のものと大きく異なるわけではありませんでした。全ての年齢層の従業員が、企業が真に取り組んでいる場合、エンゲージメントが向上することを感じていましたが、65歳以上の人々は最も小さな向上を示しました。

真摯な取り組みは全ての年齢層のエンゲージメントを高めるが、66歳以上の従業員にはその効果がやや薄い

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カルチャーアンプ社のデータより

これらの調査結果は、B Labオーストラリア&アオテアロアニュージーランドCEOのアンドリュー・デイヴィスにとっては驚くべきことではないと話します。

「従業員が雇用主に対して持続可能性に関するより意義のある行動を期待する中、B Corp認証は、人々、地球、コミュニティに与える影響について透明性と説明責任を持つ先進的な企業を区別します。認証を受けたB Corpは、持続可能な製品や誓約を超えて、Bインパクト評価のフレームワークを使用して、ガバナンスから顧客、従業員、コミュニティ、環境に至るまで、包括的な影響を測定、管理、改善します。このCulture Ampの調査は、目標を設定することが始まりに過ぎず、企業は継続的な改善に真摯に取り組む必要があることを、私たちが長い間知っていたことを反映しています。」

とはいえ、社会的影響や持続可能性について従業員を調査している企業は、一歩先を行っている可能性高いのも事実です。

企業の4分の3は、従業員が自社の持続可能性へのコミットメントをどのように認識しているかを把握していない

このデータは、企業の持続可能性へのコミットメントに対する従業員の認識が重要であることを示していましたが、ほとんどの企業はこの情報を求めていないのではないでしょうか。

全世界のカルチャーアンプを導入している6500社以上の企業のうち、「自社は。社会的責任への取り組み(例:地域支援、持続可能性など)に真摯に取り組んでいる」という質問を利用しているのは、わずか27%に過ぎません。また、この質問には、地域差も大きいのです。
以下のように、国ごとに従業員が企業からこの質問を問われている割合は異なります。

  • オーストラリアの従業員:37%
  • イギリスとドイツの従業員:26%
  • 米国の従業員:28%

気候変動やその影響と密接に関連した業務を行っている企業は、気候変動への取り組みに対する従業員の認識を尋ねる傾向が強いのです。これには、建設業、重工業、製造業、物流・輸送業が含まれます。一方で、ハイテク企業は先進的で未来志向に見られがちですが、持続可能性や社会的影響へのコミットメントに対して尋ねるといった傾向が最も低いようなのです。

建設業界では、社会的影響に関するフィードバックを従業員に求めている

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カルチャーアンプ社のデータより

これらのインサイトを統合する中で、いくつかのテーマが浮かび上がります。第一に、データは持続可能性への取り組みにおける「真の姿」の重要性を強調しています。従業員は単なる象徴的なジェスチャーを求めているのではなく、持続可能性への深いコミットメントを反映した意義ある行動を求めています。

第二に、業界の役割が持続可能性の議論を形成することが、セクター間での学びや協力の可能性を浮き彫りにしています。特に建設業の積極的な姿勢は、従来は環境に関して牽引しているイメージとは必ずしも強く結びつけられないことが多いセクターでも、実際には重要な変化を先導していることを強く示唆しています。

持続可能性に関する洞察から行動へ

洞察を行動に移すにはどうすればよいでしょうか? その答えは、真摯な取り組みを戦略的なコミュニケーションやカスタマイズされたエンゲージメント戦略と統合する包括的なアプローチを取ることにあります。企業は、自身の持続可能性への取り組みの真実性について厳しい質問を自らに投げかけ、最も価値のある資産である従業員からのフィードバックを求める必要があるのです。

企業はどのようにして従業員に対してその取り組みが真摯であることを納得させることができるでしょうか?社会的影響を通じて従業員エンゲージメントを向上させるために、何を行うことができるでしょうか?

Culture Ampの持続可能性に焦点を当てたERGの理事長である、カルメン・ウォンは、次のように述べています。

「重要なのは、非常に明確な使命を持ち、行動において透明性を保ち、トップが模範を示し、地域社会に還元する(非営利団体との提携や寄付など)ことです。」

彼女はさらに、志を同じくする人たちを集めるだけでは十分でないかもしれない点も指摘指摘しています。

「人々が集まってこうしたトピックについて話す場を持つことは一つのことですが、リーダーたちがこの取り組みを本当に支援し、イベントに参加し、ネットゼロ計画の重要性について語るのは別のことです。」

カルメンにとって、リーダーが個人的または企業全体の持続可能性への取り組みについてオープンに話し、支援することが最も重要だといいます。彼女は次のように付け加えています。

「私たちのエグゼクティブスポンサーであるウィル・ウェルヘインが、より環境に配慮したライフスタイルへのコミットメントや家族への教育方法を共有してくれたことは、本当に素晴らしい機会でした。ウィルが私たちのERDの目的を支持しているだけでなく、真摯な会話を通じて、気候変動のリスクに対する彼の立場や、父親、夫、シニアリーダーとしてどのように行動しているかといった解像度を上げてくれました。」

地域ボランティアへの参加を検討する

もしあなたの会社が環境への取り組みを示すために、低コストで高い効果が期待できる行動を一つ取るとしたら、カルチャーアンプのデータはチームサービスデー(ボランティア参加|欧米ではボランティア休暇のような扱いです)を指摘しています。

チームサービスデーを導入した企業は、従業員に四半期ごとにボランティア活動のための休暇を与えることで、「自社は社会的責任への取り組み(例:地域支援、持続可能性など)に、真摯に取り組んでいる」という質問項目に対して同意率が67%から82%に上昇し、15ポイント改善しました。

環境意識が高まっているこの時代において、組織が進むべき道は明確です。単なるコンプライアンスやマーケティング戦略を超えた、持続可能性への深く真摯な取り組みは、職場のダイナミクスを変革し、従業員のエンゲージメントを促進します。このような取り組みを通じて、自社を持続可能な未来を築くグローバルな取り組みを牽引する企業として位置付けていくことも可能なのです。

《この記事に関するお問い合わせ》
ラボラティック株式会社 広報担当

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