マネージャーがリーダーになるために必要な3つのスキル
皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。今日は、マネージャーのスキルについて、大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。
注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Amp社の「Three skills managers need to become leaders」を日本の読者様向けに訳したものです。
目次
- マネージャー育成におけるソフトスキルの重要性
- マネージャーが身につけるべき3つのスキル
- 影響力のあるリーダーの育成
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従業員の成長を促進する際、最も迅速かつ効果的に始められる方法は、マネージャーの育成に注力することです。なぜなら、マネージャーの成功は、組織の成功を測る主要な指標の一つだからです。ある報告によると、「非常に優れた才能を持つ」マネージャーが率いるチームは、そうでないマネージャーのチームと比べて、48%高い収益性、22%の生産性向上、30%優れた従業員エンゲージメントスコアを達成しています。
このような結果からも分かるように、マネージャーがリーダーとして成長するために必要なツールを提供することは、従業員エンゲージメントとパフォーマンスを向上させる最も効果的な方法の一つなのです。本記事では、マネージャー育成に焦点を当て、彼ら管理職のマネージャーたちが組織で優れたリーダーになるために必要な3つのスキルについて考えていきます。
マネージャー育成におけるソフトスキルの重要性
コロナ渦を経験し、現代の職場において感情的知性やソフトスキルがいかに重要であるかを示した期間ともいえそうです。パンデミックの中で、マネージャーは共感や率直さを持ちながら、絶え間ない変化や政治的、社会的、公衆衛生上の危機に直面するチームを支援し導くといった対応を強いられました。これらのいわゆるソフトスキルは、不確実な状況を乗り越えるために不可欠なものであり、素晴らしいリーダーとなるために中核をなす要素でもあります。
パンデミックが仮になかったとしても、マネージャーは常日頃から、様々な役割を担ってきたと言えるでしょう。共感、メンバーへの動機づけ、問題解決能力など、ありとあらゆる役割を担っているのが、マネージャーでもあります。マネージャー(正しいことを実践する)を真のリーダー(正しい方向へ組織を導く)へと成長させたいと考える組織は、チームを導き、動機付けるために必要なソフトスキルを開発するための時間、リソース(資源・予算・人員等)そして必要なツールをマネージャーに提供しなければなりません。
一部の企業では、リーダーシップ開発トレーニング、ワークショップ、デジタルコース、業務支援ツール、ピアコーチングを通じて、従業員が必要なソフトスキルを身につける支援を行っています。また、会話型のマイクロラーニングも、忙しいマネージャーが重要なスキルを練習し、1日わずか数分で持続的な行動変化を達成するための人気のある手法となっています。どの方法を採用するにせよ、マネージャーの育成を通じて従業員の成長文化を支えることは、エンゲージメント、パフォーマンス、そして職場でのあらゆる経験を大幅に向上させる可能性があります。
マネージャーが身につけるべき3つのスキル
このブログでは、マネージャーが成功するために必要なソフトスキルの中から、特に重要な3つを取り上げます。このリストは包括的なものではありませんが、Culture Amp社が実施した経験豊富な管理職(シニアリーダー)への調査によると、最も重要で需要の高いスキルの一部を取り上げました。また、Culture Ampの会話型マイクロラーニングツール「Skills Coach(スキルコーチ)」から得たスキル開発のヒントも併せてご紹介します。
戦略的な思考
経験豊富な管理職(シニアリーダー)に、「マネージャーに最も改善してほしいスキルは何か」と尋ねたところ、最も多く挙げられたのが「戦略的思考」でした。マネージャーが戦略的思考を有すると、不確実性の中でもより良い意思決定ができ、チームと共に目標を設定し、その達成に向けた計画を立てることを可能にするからです。
マネージャーへの具体的なアドバイス
- ギャップ分析を活用して構造化する:優秀なマネージャーは、測定が難しいと思われる状況でも、チームが具体的かつ測定可能な方法で考えるようサポートします。ギャップ分析は、マネージャーとチームが漠然とした概念に数値を割り当てることで、このプロセスを実現します。
たとえば、「自分のチームの戦略的思考力と行動力」といった概念に数値化可能なスコアを与え、望ましいスコアを割り当てることで、マネージャーは現状と理想の状態とのギャップをより明確に把握することができます。具体的には、ギャップ分析によって、「スコアを理想に向けて2ポイント上げるには何が必要か?」マネージャーは常に考えることで、行動を起こすための仕組みを作ることができます。言い換えれば、ギャップ分析は現実を見つめ直し、進捗状況を追跡するための進捗バーの役割を果たすのです。
- 「戦略的文脈」を設定して「危険信号」を回避する:「戦略的思考は、チームごとに異なる意味を持つことがあるため、マネージャーが自分のチームにおける「戦略的文脈」を明確に定義することが重要です。
マネージャーがチームにとっての戦略的思考の意味を明確にしたら、それと同時に「戦略的ではない行動」も定義することができます。これにより、チームが陥りやすい「危険信号」となる典型的な戦略的思考のミスを特定する準備が整います。この認識を持つことで、マネージャーはチームが将来的にこれらのミスを回避できるようサポートすることが可能になります。
1 on 1
1 on 1はマネージャーと従業員の関係の中心にあるといえます。1 on 1は通常、週1回または隔週で行われ、つながりを築き、会社の取り組みに沿った連携を確立し、従業員の成長を妨げる障害を取り除くための重要な機会です。適切に実施されれば、1 on 1はパフォーマンスの大幅な向上、成長の促進、信頼の構築、チームの柔軟性向上といった大きな成果をもたらします。そのため、優れたリーダーシップと効果的な1 on 1は切り離せない関係にあると言えます。
マネージャーへの具体的なアドバイス
- 1 on 1 ミーティングで CAMPS 質問を活用してエンゲージメントを向上させましょう。CAMPS とは、確実性(Certainty)、自律性(Autonomy)、意義(Meaning)、進捗(Progress)、社会的包摂(Social Inclusion) の頭文字を取ったもので、LifeLabs Learning によって「脳が求める重要な要素」として特定されたものです。マネージャーは 1 on 1 を通じて、メンバーの「脳の欲求」を満たす質問をすることで、彼らのエンゲージメントを高めることができます。
確実性に関連する質問例:
- 「〇〇についてどの程度明確に感じていますか?」
- 「〇〇からの主な結論や気付きは何だと思いますか?」
自律性を促す質問例:
- 「〇〇についてどのように進めたいと考えていますか?」
- 「あなたが X を担当して、私が Y を担当するという形で進めましょうか?」
これらの質問を通じて、チームメンバーが求める安心感や主体性を満たし、信頼関係の構築とパフォーマンス向上に繋げましょう。
生産性
経験豊富な管理職(シニアリーダー)へのインタビューによると、マネージャーに求められるソフトスキルとして2番目に多く挙げられたのは「生産性」でした。優れた生産性スキルを身につけたマネージャーは、仕事量やエネルギーレベルをより効果的に管理することで、自分自身とチームにおいて成果や品質、そしてウェルビーイングを最大化することができます。さらに、生産性の課題を上手に克服したマネージャーは、チームや部下に良い生産性習慣を示し、それを奨励することが可能になります。
マネージャーへの具体的なアドバイス
- 時間意識を高めるために、正確な時間表現を使用する
マネージャーは、正確な時間表現を用いることで、誤解を防ぎ、チームの時間を尊重する姿勢を示すことができます。例えば、「議題の最後の項目に移りましょうか?」という曖昧な表現ではなく、「残り10分で、議題の最後の項目に移りましょうか?」と具体的に伝えることで、時間に対する意識を共有できます。 - 優先順位付けにはMITメソッドを活用する
MITメソッド(Most Important Tasks)は、マネージャーが1日の始めや終わりに「最も重要なタスク」3つを明確に書き出す方法です。このメソッドを活用することで、1日の中で最も優先すべきタスクを特定し、それに集中する習慣を身につけることができます。また、主要な優先事項から注意をそらすようなリクエストに対して、断りやすくなるというメリットもあります。 - 「一貫した記録システム」(CCS)で組織スキルを向上させる
CCS(Consistent Capture System)とは、重要な情報(例:To-Doリストなど)を記録するための信頼できる専用のツールを指します。この仕組みを活用することで、情報を記憶に頼らず、一元的に管理できます。マネージャーは1つのCCSツールを選び、それをチームの文化として定着させることが大切です。情報を一貫して記録できる場所を持つことで、マネージャーやチームのメンバーは問題解決や新しいアイデアの創出に集中しやすくなります。 - ポモドーロ・テクニックで集中力を向上させる
調査によると、知識労働者は平均して12分ごとに中断されているといわれています。ポモドーロ・テクニックは、厳密な作業時間(通常25分)を設定することで、マネージャーが注意散漫を防ぐ訓練をする方法です。25分間の高集中作業が終わったら、必ず5分間の休憩を取るルールがポイントです。この間に中断された場合や、自分で中断してしまった場合は、タイマーをリセットして最初からやり直します。
影響力のあるリーダーの育成
効果的なマネージャーとは、単なる指示役や権限委譲者ではありません。
効果的なマネージャーは、従業員の多様な側面に向き合い、チームが最善の成果を出せるよう鼓舞し、混乱の時期にも困難な対話を避けません。戦略的思考を体現し、1 on 1ミーティングで直属の部下が価値を感じ、意見を聞いてもらえるようにし、前向きな生産性習慣をモデルとして示します。マネージャーが成功するための環境を整えることで、個人、チーム、そして職場全体の経験を向上させることができるのです。
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ラボラティック株式会社 広報担当