laboratik

News

人間らしさを失わずに、HRにおけるAI導入をどう進めるか

皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。今日は、昨今、話題になっている人事におけるAIの導入について、大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Amp社の「How to navigate the adoption of AI in HR (without losing the human touch)」を日本の読者様向けに訳したものです。


💡 関連ウェビナー|AI×HRシリーズ 第2回(参加無料)
AI×Employee Experience ─ “従業員体験”を変えるデータの使い方
📅 2025年11月20日(木)12:00–12:45|オンライン(Zoom)
🎙 ナビゲーター:ラボラティック株式会社 代表取締役 野口麗奈

🔍 具体的な学び・得られること
・HR領域で進むAI導入の最新トレンドと実データを理解する
・AIで変わる“従業員体験”の構造を整理し、自社課題に照らして考える
・データと感情をつなぐ「人事の役割」を再定義する
・AIを導入しながら“人間らしさ”を保つ実践ヒントを得る

🔗 お申し込み:[リンク]
※本記事の内容と連動する勉強会形式で進行します。

目次

  1. なぜ人事担当者はAIを取り入れているのか?
  2. 少ないリソースでより多くの成果をあげる
  3. 従業員の期待に応えるために
  4. 人事機能を“未来対応型”にするために
  5. AI導入によって最も影響を受けている4つの人事領域
  6. 1. 採用
  7. 2. 学習と成長
  8. 3. パフォーマンスマネジメント
  9. 4. リーダー・マネジャー育成
  10. AIを人事に導入する際のベストプラクティス

すべて表示

人事部門も、AIツールの熱狂から逃れることはできません。すでに多くの人事チームがAIの導入を進めており、今後導入を予定している組織も少なくありません。

2023年6月から2024年1月の間に、AIの試験導入や実装を計画している人事リーダーの数は2倍に増加しました(英語リンク)。現在では、42%の人事チームが何らかの形でAIを活用しています(英語リンク)。
この急速な成長は、単なる関心の高まりではなく、人事部門の仕事の進め方そのものが変化していることを示しています。

ここでは、AI導入を加速させている背景、最も変革が進んでいる分野、そして人事における「人間らしさ」を保ちながら効率と影響力を高める方法を見ていきましょう。

なぜ人事担当者はAIを取り入れているのか?

AIの導入は、業界や職種を問わず猛烈なスピードで進んでいます。パソコンやインターネットの普及よりも速いペースです。そして、この流れはもう後戻りしません。AIはすでに存在しており、今後も私たちの働き方に深く関わり続けます。

そのため、人事担当者にとっての焦点は「AIを使うかどうか」ではなく、「どうすれば責任を持って効果的に使えるか」という点にあります。
幸いにも、多くの人事リーダーや担当者はAIに前向きな見方を持っており、83.9%が「AIの活用によって人事機能がより効率的に運用できるようになった」と回答しています(英語リンク)。

では、実際にどのような効果があるのでしょうか。AIを導入することで、人事部門は次のような成果を得られます。

少ないリソースでより多くの成果をあげる

人事チームに対する期待は年々高まっています。83%の人事リーダーが「3年前よりも多くの業務が求められている」と答えています(英語リンク)。
それにもかかわらず、多くの組織では予算が横ばい、あるいは縮小傾向にあります。2024年には、人事チームの30%が「予算削減を見込んでいる」、さらに30%が「業務量が増えるにもかかわらず予算は変わらない」と回答しています(英語リンク)。

そのような状況下で、AIツールは単なる流行のツールではなく、業務負荷を管理し、オペレーションを効率化し、より戦略的な仕事にチームの時間を割けるようにするための貴重な資源となります

従業員の期待に応えるために

今日の従業員、特に若い世代は、職場でもテクノロジーに支えられたモダンな体験を求めています。つまり、彼らは職場でAIを活用できることを当然のように期待しています。
実際、従業員は上司よりも2倍の割合で「来年には日常業務の30%以上にAIを使うだろう」と考えています(英語リンク)。

このテクノロジーを拒む企業は、時代遅れに見えるだけでなく、候補者体験や従業員エクスペリエンスにおいて、AIがもたらすスピード、パーソナライズ、サポートの恩恵を逃してしまうことになります。

人事機能を“未来対応型”にするために

AIは単に「仕事の進め方」を変えているだけではありません。「仕事のあり方」そのものを変えつつあります。
人事チームは、AIの影響で変化・新設される役割に対応しながら、組織のリスキリングや人材戦略の再設計を支援する重要な役割を担っています。

AIを理解し、適切に導入することは、人事機能全体を未来に向けて強化することにつながります。

AI導入によって最も影響を受けている4つの人事領域

社員向けのチャットボットから求人票の自動生成まで、多くの企業が日常的な人事プロセスの中にAIを取り入れています。
Culture Amp自体は、以下すべての領域にAIを導入しているわけではありませんが、人事領域におけるAIの代表的な活用分野を紹介します。

1. 採用

人事領域の中でも、採用は最もAI導入が進んでいる分野です。SHRM(全米人材マネジメント協会)のデータによると、64%の人事担当者が採用プロセスの一部でAIを使用しており、これはAIの活用例の中で最も一般的です(英語リンク)。

人事チームは、求人票の作成、履歴書のレビュー、候補者検索の自動化、応募者とのコミュニケーションなど、幅広い場面でAIアプリケーションを利用しています。

2. 学習と成長

採用によって社員を迎え入れた後、多くの人事部門は「学習と成長(L&D)」の分野でAIを活用しています。43%の人事担当者が、L&Dの領域でAIを使用していると回答しています(英語リンク)。

AIツールは、役職・キャリア目標・スキルギャップに応じたコースを推薦したり、学習進捗を追跡したりすることができます。さらに、AIは新技術や変化するビジネスニーズ、従業員のキャリア成長に関する期待に対応するための学習コンテンツやプログラムの作成にも役立ちます。

3. パフォーマンスマネジメント

パフォーマンスマネジメント領域では、現時点でAIの導入率はまだ25%にとどまっています。
これは、評価結果が給与や雇用継続などに直結するため、慎重な運用が求められるからでしょう。
それでも、AIにはこの分野に大きな可能性があります。今後、導入がさらに進むと考えられます。

AIは、マネジャーがパフォーマンス面談や行動計画を進める際に有用なガイダンスを提供できます。具体的には、建設的なフィードバックの伝え方、目標設定の支援、パフォーマンスデータの分析による洞察の提供などです。

4. リーダー・マネジャー育成

3年連続で、人事リーダーが最も重視している優先課題は「リーダーとマネジャーの育成」です。
AIツールは、スキルギャップや適切なトレーニングの特定を支援したり、困難な場面(厳しいフィードバックを伝える、チーム内の対立を解消するなど)をシミュレーションして練習やコーチングに活用することができます。

Culture Ampの「AI Coach」は、専門コーチングとガイド付きロールプレイを組み合わせ、マネジャーが重要な対話や複雑な状況において、スキルと共感をもって対応できるよう支援します。
その結果、どんな状況でも自信と能力を持ってチームを導ける、より優れたマネジャーの育成につながります。


🧭 “人の体験”を軸に、AI活用を設計する45分
AI×Employee Experience 勉強会では、採用・L&D・評価・マネジャー育成で進むAI活用を、従業員体験(EX)の視点で再整理。どこから着手するか、明日からの一歩を一緒に描きます。
▶️ 参加登録:[リンク]

AIを人事に導入する際のベストプラクティス

AIツールには多くの可能性があります。しかし、その可能性を実現するには、人を中心に据えた慎重で思慮深いアプローチが欠かせません。
実際に、AIに関する正式な戦略を文書化している人事部門はわずか7%にとどまっています。

どんなツールでも、導入しただけで成果が出るわけではありません。
ここでは、AIを人事領域で効果的かつ戦略的に活用するためのベストプラクティスを紹介します。

明確な課題設定から始める

まずは、解決したい具体的な課題や非効率なプロセスを特定することから始めましょう。
たとえば、「採用プロセスを効率化して採用期間を短縮したい」「大規模に学習をパーソナライズしたい」「マネジャーのフィードバックの質を高めたい」といったものです。

こうした明確な課題設定があることで、適切なHRツールを選びやすくなり、成果の測定も明確になります。また、ステークホルダーからの理解と協力も得やすくなります。

従業員とマネジャーを早期から巻き込む

AIツールは、実際に使われてこそ効果を発揮します。導入初期の段階から従業員やマネジャーを関与させ、ツール選定やパイロット運用に参加してもらいましょう。

また、AIツールがどのように動作するのか、何のために使うのか、どのように使えばいいのか、そして「人間の判断を置き換えるのではなく支援する」ものであることを明確に伝えることが重要です。

AI導入における一般的な課題とその克服方法

人事部門でのAI導入には、いくつかのハードルが存在します。チーム内の抵抗感から技術的な懸念まで、これらの課題を放置すると進行が遅れたり、導入に対する不満を招くこともあります。
ここでは、特によく見られる課題と、それを乗り越えるための方法を紹介します。

人事担当者の抵抗感

AIへの関心が高まる一方で、すべての人事メンバーがAI導入に積極的というわけではありません。
「人間らしさが失われるのでは」と懸念する人もいれば、「テクノロジーに置き換えられてしまうのでは」「新しいツールを覚えるのが大変」と感じる人もいます。

明確なコミュニケーションやトレーニング、リーダー層の理解と支援といった適切なチェンジマネジメントがなければ、AI導入は「便利な仕組み」ではなく「負担」として受け取られてしまう可能性があります。

克服のポイント
AIは「人を支援するための仕組み」であり、「人を代替するもの」ではないという位置づけを明確に伝えましょう。
具体的なツールがどのように繰り返し作業を減らし、人がより意義のある仕事に集中できるよう支援するのかを示すことが重要です。

また、小規模なパイロットプロジェクトから始め、チームを早期に巻き込み、十分なトレーニングと透明性を持って進めることで、抵抗感を和らげることができます。

成果指標が不明確であること

AIツールに対する期待が高まる中で、「何をもって成功とするのか」を定義しないまま進めてしまうケースも少なくありません。
成果が定義されていなければ、AI導入の効果を正しく評価することも、今後の投資を正当化することも難しくなります。

克服のポイント
他の戦略的取り組みと同様に、明確な目標を設定し、進捗を追跡することが重要です。
たとえば、「従業員エンゲージメントスコアを向上させる」「採用プロセスを効率化する」「マネジャーの効果性を高める」といった具体的な成果指標を設定し、それに基づいてAI導入を進めることで、狙った成果がきちんと得られているかを確認できます。

AIがつくる人事の未来:トレンドと今後の予測

AIはすでに多くの人事機能に変革をもたらしていますが、その真価はまだ始まったばかりです。
これからの人事の未来を見据えると、AIが果たす役割はますます大きく、より戦略的なものになっていくでしょう。ここでは、人事リーダーが今後注目すべき主なトレンドを紹介します。

AIは「実験」ではなく、人事戦略の中核へ

AIは一過性の流行ではありません。Gartnerの予測によると、2025年までに人事リーダーの60%が少なくとも1つの主要機能にAIソリューションを導入している見込みです。
今後、AIツールは単に人事業務をサポートする存在にとどまらず、チームの構造づくり、目標設定、業務遂行のあり方そのものに重要な役割を果たすようになります。

従業員向けAIツールの普及が加速する

消費者の世界では、スマートアシスタントやパーソナライズされたおすすめ機能が一般的になりつつあります。従業員も職場で同様の体験を期待するようになるでしょう。
AIを活用したオンボーディング、個別最適化されたコーチング、自動応答型のHRチャットボットなど、AIが従業員と人事の関わり方を大きく変えていく時代が訪れています。

この変化のスピードに不安を感じる人もいるかもしれません。しかし、安心してください。
皮肉なことに、AIが人事に広く浸透すればするほど、「人間らしさ」の価値は高まります。
人事の未来は“人間性が失われる”方向ではなく、“より人間的になる”方向へ進んでいるのです。
AIを活用して反復的なタスクや基本的なサポートを効率化することで、人事担当者は「人」に関わる本質的な仕事に、より多くの時間とエネルギーを注げるようになります。

AIは人事チームの「代わり」ではなく「支援者」

適切な戦略をもって活用すれば、AIは人事チームの成果を大きく拡張させることができます。
限られたリソースの中で高まる期待に応えながら、「人の手が必要な仕事」に集中できるようにすることがAIの本当の価値です。

それは、従業員とつながりを築くこと、マネジャーを導くこと、そして人がいきいきと働ける職場文化をつくること。
AIはあなたの仕事を奪うために存在しているのではありません。
むしろ、あなたが「よりよく働く」ことを支えるためにあるのです。


📅 勉強会のご案内(AI×HRシリーズ 第2回)

AI×Employee Experience ─ “従業員体験”を変えるデータの使い方
• 日時: 2025年11月20日(木)12:00–12:45
• 形式: オンライン(Zoom)/参加無料
• 主催: ラボラティック株式会社
• ナビゲーター: 野口麗奈(代表取締役)
• 進め方: 講義+データ・事例紹介+全体ディスカッション(勉強会形式)
• 具体的な学び・得られること
• HR領域で進むAI導入の最新トレンドと実データを理解する
• AIで変わる“従業員体験”の構造を整理し、自社課題に照らして考える
• データと感情をつなぐ「人事の役割」を再定義する
• AIを導入しながら“人間らしさ”を保つ実践ヒントを得る
• 申込: [リンク](所要1分)
https://peatix.com/event/4649851/view

※本ウェビナーは全3回シリーズの第2回です。
今後の予定:
・第1回:AI×HRの現在地 ─ “人を支える人事”はどう変わるのか
https://peatix.com/event/4649838/view
・第3回:AI×Manager Development ─ AIはマネジャーをどう支援できるか
https://peatix.com/event/4649858/view

《この記事に関するお問い合わせ》
ラボラティック株式会社 広報担当

Contact

お問い合わせフォームから
お気軽に問い合わせください。