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laboratik 従業員への特典:自社の従業員が本当に求めていること

従業員への特典:自社の従業員が本当に求めていること

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皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。今日は、従業員が組織に求めている特典について、大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Amp社の「Employee perks: What your people actually want」を日本の読者様向けに訳したものです。

目次

  1. なぜ適切な社員特典を選ぶことが重要なのか
  2. 自社に最適な従業員特典を選ぶ最善の方法は、従業員の声に耳を傾けること
  3. 従業員特典を選ぶ際に留意すべき3つのポイント
  4. 今後の展望
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(注)従業員への特典とは、福利厚生とは異なると言われています。主に、従業員特典とは、福利厚生のような法的な義務に関することではなく、主に、職場環境や満足度を向上させるための施策を意味します(例:職場で無料で飲めるコーヒーや、従業員向けの会社のおごり自販機は「従業員特典」に分類されるものとご理解ください。


何年もの間、企業は競合他社に差をつけ、優秀な人材を惹きつけるために、一風変わった従業員特典に投資してきました。たとえば、グーグルは無料のグルメやマッサージを提供し、フェイスブックは社内に理髪店やスパを設けています。しかし、従業員が楽しい享受できる特典にはあまり興味を示さず、代わりに職場での経験を実際に向上させるような特典を重視するようになり、職場を楽しくしていこうとする時代は終わりを告げつつあるのかもしれません。

現在進行中と言われる大辞職時代は、リモートワークやハイブリッドワークが当たり前の世界では、従来のオフィスに根ざしたユニークな特典より、ワークライフバランスや一貫したコミュニケーションの方が重要であると捉えているようです。パンデミックは、多くの人々に自分にとって本当に大切なものは何かを考えさせるきっかけとなりました。世界的に取り沙汰されたような人種運動や社会な運動をめぐっては、組織の経営層や管理職に対して、職場における多様性、公平性、インクルージョン(包摂性)にもっと焦点を当てるよう促しているともいえそうです。このように、従来の価値観からの視点の変化により、従業員はより意味のある従業員むけの特典(注)を求めるようになりました。

派手で目を引く特典は注目を集めるかもしれませんが、組織の従業員体験に大きく貢献するわけではありません。本記事では、組織が従業員特典を人を中心としたアプローチで考える方法を解説し、現在従業員が求めている特典の具体例をいくつかご紹介します。

なぜ適切な社員特典を選ぶことが重要なのか

多くの企業は、従業員特典を戦略的な採用およびリクルーティングの手段として活用しています。給与と同様に、特典も多くの候補者にとって非常に重要な要素です。データ収集会社のMorning Consultが、現在働いている米国の成人1,121人を対象に、すぐにでも組織に加わりたくなるインセンティブについて調査を行いました。その結果、29%の回答者が有給休暇や保険の適用などを挙げ、給与(31%)に次いで特典が魅力的な要因であることが分かりました。

従業員特典は、組織の離職防止戦略においても重要な役割を果たします。Comparablyの調査によると、評価の高い大企業では79%、同じく評価の高い中小企業では83%の従業員が、特典がその会社に留まる決め手の一つになっていると答えています。しかし、Comparablyはさらに、評価の高い企業は従業員の生活全般を支える特典を提供している点を指摘しています。卓球台や滑り台では、そのような包括的なニーズには対応しきれないのです。

このデータは、ハーバード・ビジネス・レビューの調査結果によっても裏付けられています。同調査によると、従業員は、柔軟な勤務時間や有給休暇の増加、リモートワークの選択肢など、ワークライフバランスを向上させる特典に高い価値を置いています。一方で、個人のライフスタイルや経済状況に大きな影響を与えない特典は、回答者にとってあまり魅力的ではないことが分かりました。これには、無料の食事やコーヒー、チームビルディング活動やリトリート(社員旅行)など、会社が主催するイベントが含まれます。以下に、求職者に最も評価されている特典をまとめたチャート(原文記事をもとに再現したもの)を掲載します。

【図表:求職者が最も重視する従業員特典とは】

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Culture Amp社の記事掲載データより

本表は、チームビルディングイベントや社内ジムのような特典が従業員に全く評価されていないというわけではありません。しかし、それらが職場での従業員体験を向上させる最も価値のある方法ではない点を理解することが重要です。従業員のウェルビーイングや、彼らが本当に成長するために必要なものを深く考えないまま、単に新しい人材を引き付ける目的で特典を提供してしまうと、現在の従業員のエンゲージメントや定着率を高めることができないリスクがあります。従業員特典プログラムを意図的かつ包括的に設計することで、生産性の向上、高いエンゲージメント、そして燃え尽き症候群の低減といったメリットを引き出すことが可能になります。

自社に最適な従業員特典を選ぶ最善の方法は、従業員の声に耳を傾けること

従業員特典プログラムの効果を最大化するには、従業員に「何を望んでいるのか」を直接尋ねるのが一番です。他社の特典プログラムを参考にする必要はありません。組織ごとに状況は異なるため、従業員が優先するものもそれぞれ異なるからです。

従業員から意見を集める簡単な方法の一つは、アンケートを実施し、現在提供している特典についてどう感じているかを尋ねることです。具体的なデータを集めることで、従業員が現在の特典をどのように評価しているのか、何が好まれ何が不満かを明確にするだけでなく、従業員グループ間の意識の違いを発見することができます。たとえば、Culture Ampのようなエンゲージメントソリューションでは、既存の特典や従業員の関心を評価するための「Benefitsテンプレート」を提供しており、新しい特典についての希望を尋ねることも可能です。

従業員特典を選ぶ際に留意すべき3つのポイント

従業員にとって最も価値のある特典を特定するには、従業員の声を聞くことが一番ですが、それ以外にもいくつか考慮すべき点があります。特典や福利厚生プログラムを見直す際には、次の3つのポイントを戦略の中心に据えることをお勧めします。

1 . オフィスの特典を企業文化と混同しないこと
ポジティブな企業文化は、従業員が自分らしくベストを尽くせる環境を作り出し、エンゲージメントや組織へのコミットメントを高めます。しかし、オフィスやその特典が文化そのものだと考えるのは誤りです。特典は文化を補強するものではありますが、文化そのものではありません。

たとえば、オンライン小売企業OverstockのCEOであるジョナサン・ジョンソン氏は、2016年に新しいオフィスに移転した際、オフィスの特典を文化と混同するというミスを犯したと述べています。1億ドルをかけて建設された同社のキャンパス(オフィスの敷地内)には、敷地内の診療所やゲームルーム、さらには敷地内の食堂で使う新鮮な食材を育てるためのグリーンルームまで完備されていました。しかし、これらの特典が従業員の採用には役立ったものの、長期的な定着にはつながらないーとジョナサンをはじめとした幹部陣はすぐに気付いたとジョナサンは振り返ります。「オフィススペースは文化ではない。卓球台は文化ではない。食事補助も文化ではない」と彼は述べています。

要点  従業員の福利厚生や特典を再設計する際には、自社の文化を強化する特典はどれかを問い直してみましょう。たとえば、会社のバリューの1つに「職場で正真正銘、最高の自分を発揮すること」である場合、「職場で自分らしく輝く」という価値観を掲げているなら、弔慰休暇など、従業員の困難な時期を支える特典が含まれているか確認しましょう。

2. 包括性を検討すること
会社にアーケードゲームのある部屋があるのは一見、カッコよく見えるかもしれませんが、特典の中には従業員を疎外したり、排除したりするものもあります。

従業員特典を選択する際には、すべての従業員が平等にアクセスできるかを常に考慮することが重要です。さもないと、組織内の特定の対象者にしか訴求しない特典を提示してしまうといったリスクをがあるのです。たとえば、身体に障がいのある従業員は、会社全体で行われるヨガクラスに参加しづらさや疎外感を感じるかもしれません。また、社内ジムのような特典は、一部の従業員にとっては特典とは感じられない場合もあります。

一方で、リモートワークの選択肢は、従業員に人気の特典であるだけでなく、障がいを持つ従業員コミュニティにとっては職場の重要な障壁を取り除く助けにもなります。リモートワークの選択肢は、自身が組織で働けるかどうかの分岐点となる場合があるのです。

オレゴン大学法学部で行動倫理と雇用法を研究するエリザベス・ティペット氏は次のように述べています。「今こそ、公平性への影響を考えるべき時です。会社が従業員に投資している方法が、特定の従業員にしか利益をもたらしていないのではないかと考えてみてください。」

従業員特典や福利厚生を設計する際に、LGBTQ+コミュニティを親子休暇ポリシーに組み込むこともインクルーシブ(組織の包摂性)の一例です。すでに有給の親子休暇を提供している、または提供を検討している場合、その内容を拡充し、包括的な言葉を使うことは、LGBTQ従業員への公平性に向けた一歩となります。ジャーナリストであり講演者でもあり、「The Fifth Trimester」ムーブメントの代表であるローリン・ブロディは、「主介護者」と「非主介護者」という言葉はLGBTQの人々には適切でないと指摘しています。彼女はこう説明しています。「私たちは皆、次世代を育てる責任を主に負っています。よく見かけるのは、カップルが『主介護者』と『副介護者』、あるいは『母親』と『父親』だからという理由で、休暇日数が異なることです。」

要点  従業員の福利厚生や特典を設計する際にインクルーシブ(包摂性を慮った)なアプローチを取ることは、従業員全体の最良の利益を念頭に置くことにつながります。いくつかの企業特典は一見素晴らしく見えるかもしれませんが、特定のコミュニティや歴史的に疎外されてきた背景を持つ従業員にとっては、それほど有益でなかったり、利用しにくい場合があります。

3. 従業員のウェルビーイングを重要視すること
大企業であれ中小企業であれ、従業員にとって重要な特典、たとえば健康や職場で自分らしく働くために投資する価値があります。職場でのウェルビーイングは、精神的および身体的健康の両方を最適化し、従業員がバランスの取れたリフレッシュした状態で働けるようにすることです。

パンデミックは、多くの従業員のメンタルヘルスの課題を悪化させました。カンファレンス・ボードによる調査では、59%の従業員が職場のウェルビーイングにおける最大の懸念事項としてストレスや燃え尽き症候群を挙げています。メンタルヘルスを重視する職場への需要が高まる中、人事リーダーはその重要性に気付き、行動を起こさなければなりません。

要点 メンタルヘルスの支援を提供することは、採用活動の改善や優秀な従業員の定着(リテンション)だけでなく、組織全体にとっても大きなメリットがあります。メンタルヘルスは、良い状態でも悪い状態でも、私たち全員にとって常に重要な問題です。従業員の身体的健康と同様に、各人のメンタルヘルスにも十分な配慮が必要です。さらに、組織の経営層や管理職であるリーダー達がメンタルヘルスの重要性を認識し、状況改善に取り組むことで、従業員がより良いパフォーマンスを発揮できるようになります。

今後の展望

一部の企業は、競合他社に差をつけ、人材を引きつけるために、大げさな特典を提供して評判を得ている節もあります。従業員用のゲームルームやオフィス内の仮眠室は注目を集めるかもしれませんが、従業員は自分にとって本当に重要で、自分たちの価値観を反映した特典を求めています。従業員の声に耳を傾けることで、従業員が本当に求めているものを見極めることができるのです。

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