
マネージャーがより効果的な1on1セッションを行うために

皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。今日は、マネージャーと直属の部下との1 on 1ミーティングについて、マネージャーが抱く疑問点をFAQ的にまとめた大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Amp社の「How to help managers have more impactful 1-on-1 sessions」を日本の読者様向けに訳したものです。
目次
- 1 on 1についてマネージャーが抱く疑問
- 1 on 1に関する疑問点
- 1 on 1の価値に関する疑問点
- 1 on 1 のコンテンツに関する疑問点
- 1 on 1の開催頻度に関する疑問点
- 関連記事
- 関連リンク
マネージャーと直属の部下との1 on 1ミーティングは、組織内でますます普及し、有益な取り組みとして評価されています。しかし、実際のところ、その責任はほとんどマネージャーに押し付けられており、成功するために必要な仕組みやツール、トレーニングが十分に提供されていないのが現状です。また、効果的な1 on 1を実現するために求められるスキル―たとえば、適切な質問を投げかける、対立を解消する、従業員の成長を導く―は、必ずしもマネージャーが自然に備えているものではありません。
だからこそ、組織としてマネージャーを積極的にサポートし、直属の部下とのより良い対話ができるようにすることが求められます。その一環として、私たちは1 on 1ミーティングに関してよく寄せられる質問を洗い出し、各質問に対する推奨事項を共有しました。
1 on 1についてマネージャーが抱く疑問
1 on 1に関する疑問点
1 on 1ミーティングの運営方法について、マネージャーが抱きがちな疑問点をまとめ、「価値」「コンテンツ」「開催頻度」という3つのカテゴリーに分類しました。これらの質問に対して必ずしも一つの正解があるわけではありませんが、私たちが考える最適な回答を以下にご紹介いたします。
https://note.com/embed/notes/nea76734b8cd6
1 on 1の価値に関する疑問点
Q. 1 on 1ミーティングの目的は何ですか?
なぜそのプロジェクトが組織にとって重要なのかを説明せずに、誰かに大規模なプロジェクトを任せることはありえません。同様に、マネージャーが1 on 1ミーティングを実施する際も、自分の役割においてなぜそれが不可欠なものなのかを理解していなければならないのです。1 on 1ミーティングは、複数の目的を果たすことができます:
人間関係の構築
1 on 1は、マネージャーと直属の部下が定期的かつ体系的に行う唯一のタッチポイントです。たとえば、対面で直接コミュニケーションを取る貴重な時間は、強固な信頼関係を築くための大きな助けとなります。特に、ほとんどの従業員がリモートワークをしており、上司との自発的なチェックインや会話が難しい現在、1 on 1はますます重要な役割を果たします。
従業員の成長支援
1 on 1セッションは、従業員にとって重要な成長の機会を提供します。たとえば、従業員が業務上の障害を取り除くためのサポートを求めたり、問題解決のためのアドバイスやリソースを上司に依頼したりする場として活用できます。こうした会話は、従業員が自らのキャリアを次のレベルに引き上げるために必要なフィードバックを得るうえで、極めて有効です。
内省の促進
1 on 1は、従業員だけでなくマネージャー自身にも、自分自身を振り返るための貴重な時間と空間を提供します。たとえば、ミーティング中にフィードバックを共有し合ったり、その後で会話を振り返ったりすることで、個人としても、またプロフェッショナルとしても、どのように自己改善を図るかについて深く考える機会が生まれます。
Q. 1 on 1ミーティングを安全な場にするために、マネージャーは何ができるでしょうか?
マネージャーは、従業員が初めから1 on 1ミーティングで率直に自分の気持ちを開示してくれると仮定してはいけません。むしろ、1 on 1を安全な場にするために、意図的な取り組みが必要です。これは組織全体で取り組むべき事項ですが、マネージャー自身も直属の部下との関係の中で、心理的安全性や信頼を築く努力をする必要があります。具体的には、マネージャーが透明性を保ち、積極的に傾聴を実践し、常に従業員を支援する意図があることを明確に示すことで、安全な対話の場を作り上げることができます。
https://note.com/embed/notes/nc1b63f8ce813
Q. 1 on 1ミーティングを最大限に活用するために、マネージャーは何を事前に準備すべきでしょうか
直属の部下は、ミーティングから必要な情報や成果を得るために、1 on 1ミーティングのアジェンダを自ら設定し、進行するべきです。しかし、マネージャーもそのプロセスに積極的に関与する必要があります。具体的には、マネージャーはアジェンダや会話の方向性に貢献し、従業員がどのような内容を話したいかを事前に確認した上で、従業員にとって有益かつ関連性のある質問や資料を準備しておくことが求められます。
Q. 直属の部下が1-on-1ミーティングからどのような価値を得ているか、マネージャーはどのように確認すればよいでしょうか?
以下は、価値のある1-on-1ミーティングを効果的に運営するためのヒントです。
- すべてのミーティングに明確な目標を設定する
マネージャーも直属の部下も、具体的な問題解決や最近のプロジェクトからの学びを振り返るなど、何を達成したいのかをはっきり意識して1 on 1ミーティングに臨むことが重要です。 - 従業員にフィードバックを確認する
一見当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、マネージャーは、従業員が1 on 1ミーティングから本当に価値を得ているかどうか、積極的に尋ねるべきです。促されなければ、直属の部下は自ら不満や問題点を口にしにくいものです。 - 肯定的なフィードバックと建設的なフィードバックの両方をバランスよく行う
従業員の努力を称賛するだけでなく、成長や改善のための方向性も示すことが求められます。これにより、従業員は自己啓発の機会を得て、さらに成長するための具体的な手がかりを持つことができます。
これらのポイントを意識して1 on 1ミーティングを運営することで、従業員が自らのキャリアや成長に対して前向きな姿勢を保ち、組織全体の定着率向上にもつながるでしょう。
1 on 1 のコンテンツに関する疑問点
Q. 1 on 1ミーティングの議題は誰が決めるべきでしょうか?
私たちは、1 on 1ミーティングにおいて、マネージャーと直属の部下がオーナーシップを共有することが重要だと考えています。前述の通り、アジェンダの設定と推進は従業員が主体となるべきですが、マネージャーもそのプロセスに積極的に関わる必要があります。この協力関係を促進するために、Culture Ampのプラットフォームでは、共有アジェンダを作成・管理できる1 on 1専用のスペースを提供しています。
Q. 時間を有効に活用するため、どのようにアジェンダを構成すればよいのでしょうか?
適切なアジェンダが整っていないと、1 on 1ミーティングはぎこちなくなり、進行が難しく感じられることがあります。アジェンダの内容は従業員のニーズに合わせて変わりますが、マネージャーは以下のトピックについて定期的に話し合うための時間と場を確保するとよいでしょう:
・個人的な近況報告
・ウェルビーイング
・成長とキャリアの希望(短期・長期)
・チームメイトや会社のリーダーとの関係
・質問や懸念事項
Q. 1 on 1ミーティングで、マネージャーは直属の部下にどのような質問をすべきでしょうか?
質問は、特定の話題を掘り下げるための効果的な手段です。以下は、従業員との1 on 1ミーティングですぐに活用できる、代表的な質問例です:
- 「前回お話ししたとき、Xが課題だとおっしゃっていましたが、その後どうなっていますか?」
- 「会社の方向性にどの程度共感していますか?」
- 「最近、あなたの役割でどのような点がモチベーションとなりましたか?」
- 「一定期間の間で、どのような挑戦を感じましたか?」
- 「私に対して何かフィードバックはありますか?」
- 「キャリアや人生の大きな目標に向けて、どのように前進していますか?」
さらに、マネージャーが1 on 1の会話をより効果的に進められるよう、Culture Amp社の1 on 1 Conversationsツールには、従業員全体の体験に影響を与える要因について尋ねる質問があらかじめ組み込まれています。
Q. マネージャーはプロセス管理とコーチングにどれくらいの時間を割くべきでしょうか?
GoogleのProject Oxygen調査によると、優れたマネージャーに必要な最も重要なスキルのひとつは「コーチング」であることが明らかになりました。そのため、1 on 1ミーティングでは、マネージャーは大半の時間をコーチングに充てることが推奨されます。また、日々の業務の進捗報告などの取引的な更新はSlackやEメールで十分に対応できるため、この限られた対面時間は、より意味のある会話に活用するべきです。
Q. 個人的な近況報告とビジネス関連の近況報告のバランスはどのように取るべきでしょうか?
大切なのは、適切なバランスを見極め、従業員の希望を考慮することです。たとえば、いきなり業務の話に入ると、場合によっては冷たく感じられるかもしれません。一方で、休暇の計画について10分間も話すと、他の従業員には時間の無駄と捉えられる可能性もあります。だからこそ、マネージャーは、直属の部下にとってどのバランスが最も理にかなっているかを確認することが重要です。
1 on 1の開催頻度に関する疑問点
Q. マネージャーは、直属の部下とどれくらいの頻度で1 on 1ミーティングを行うべきでしょうか?
この答えは、従業員の目標や希望によって異なります。たとえば、週に1回のチェックインを希望して、できるだけ多くのサポートを受けたいと考える人もいれば、より自立して働きたいと考え、月に1回の1 on 1ミーティングを好む人もいます。いずれにしても、マネージャーと直属の部下は、ミーティングの開催頻度を試行錯誤しながら、自分たちの関係に最適なペースを見つけることが重要です。
Q. 予定されている1 on 1ミーティングをマネージャーがキャンセルしてもよいのでしょうか?
他のプロジェクトや責任で忙しいと、マネージャーはつい1 on 1をキャンセルしたくなるかもしれません。しかし、できる限りキャンセルは避けるべきです。たとえマネージャーの意図でなくとも、1 on 1ミーティングをカレンダーから外してしまうと、従業員は自分が優先されていないと感じ、やる気の低下や不満につながる可能性があります。もしミーティングで取り上げるべき重要な話題が見当たらない場合、それはミーティングの頻度や内容を見直すべきサインかもしれません。
Q. マネージャーが直属の部下との1 on 1ミーティングで話し合った内容を、次のミーティングまでにどのように心づもりすべきでしょうか?
複数の部下を抱えるマネージャーは、1 on 1ミーティングで話した詳細を忘れてしまうのは当然です。だからこそ、ミーティングの内容を文書化し、後で振り返ることが非常に重要となります。誰がいつメモを取るかは、マネージャーと直属の部下で相談して決めることができますが、必ずそれを実施するためのシステムを整えておくことが肝心です。
1 on 1セッションは、効果的に実施するための指導を受ければ、マネージャーにとってかけがえのないツールとなります。本記事で紹介した質問と回答を参考に、マネージャー向けのリソースを整備してください。これは、公式のトレーニングセッションや包括的なガイド、あるいはその他マネージャーが役立つと感じる形で構いません。