
現代の職場における従業員育成の重要性

皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。今日は、組織開発や従業員の育成について、大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。
注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Amp社の「The importance of employee development in the modern workplace」を日本の読者様向けに訳したものです。
目次
- 従業員育成とは何か?
- なぜ従業員開発が重要なのか?
- 優秀な人材を惹きつける
- 従業員の定着を促進する
- 従業員エンゲージメントの向上
- ビジネスパフォーマンスの向上
- 関連記事
- 関連リンク
今日の職場において、キャリア開発のあり方は変化しています。
かつてのように固定されたキャリアパスは、もはやそれほど意味を持ちません。特に、従業員が以前にも増して転職を繰り返す今の時代においてはなおさらです。いわゆる「大退職時代(Great Resignation)」のなかで、多くの従業員が、より良い成長機会を求めて、新しい職場を探し始めています。
こうした変化の中で、競争力のある雇用主であり続けるためには、これまで以上に従業員を惹きつけ、引き留める工夫が求められています。そのための明確な解決策の一つでありながら、実際には多くの組織で十分に活用されていない手段があります――それが「従業員の育成(Employee Development)」です。
「自社ではすでに従業員育成にしっかり取り組んでいる」と思っている企業であっても、アプローチを見直す価値はあります。LinkedInの2022年グローバルタレントトレンドレポートによると、従業員の59%が「企業文化を改善するために、会社が最も投資すべき分野はプロフェッショナルとしての成長・開発だ」と回答しています。従業員がキャリア開発をいかに重視しているかは明らかですが、企業のリーダーたちは果たしてそれと同じレベルの関心を持っているでしょうか?
多くの組織において、キャリア開発の取り組みにはまだ大きな改善の余地があります。従業員の人生により深く、持続的なインパクトを与えるために、組織として今こそその取り組みを強化すべき時です。
本記事では、Culture Ampが最新のeBook「なぜ従業員開発がHRの最優先事項であるべきか」(※英語リンク)に基づき、「従業員の育成とは何か」「なぜ今、それが重要なのか」を詳しく解説していきます。
従業員育成とは何か?
従業員育成とは、新たなスキルを学び、既存のスキルを磨く取り組みを指します。雇用主のサポートを受けながら、従業員は新しい技術や手法を習得したり、業界や専門分野に関する知識を深めたり、さまざまな分野にわたって自分の能力を伸ばすことができます。企業が高度なスキルを持つ人材を求める一方で、従業員も自分の役割で成功したいと考えていることから、従業員育成は双方にとって重要です。
うまく設計された継続的な学習は、雇用主と従業員の双方にとってメリットがあります。たとえば、企業に会計のスキルを必要とする部署がない状況で、マーケターに会計スキル習得のための費用を出すのは合理的とは言えないかもしれません。しかし、そのマーケターがデジタルマーケティングの講座を受講し、自社のオンラインプレゼンスを向上させ、新規顧客の獲得につながるようであれば、企業と従業員の双方にとって有益な投資になります。従業員は新しいスキルをすぐに活かし、自分の仕事の価値を実感できますし、企業側もその成果を享受し、スキルギャップを埋めることができます。
このような両者の利害が重なるポイントを見つける有効な方法として、「キャリア開発プラン」の作成があります。現在の役割に求められるスキルと、将来的に次のキャリアステージに進むために必要な能力を明確にすることで、従業員と企業がともに成長できる道筋を描くことができます。将来、従業員と企業の双方の成功に貢献するスキルへの投資は、非常に賢明な選択と言えるでしょう。
従業員育成にはさまざまなアプローチがあります。代表的な手法としては、継続的な研修プログラム、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)、メンター制度、ストレッチアサインメント、カンファレンスや講座の受講などが挙げられます。
Culture Ampでは、キャリア開発を「3つのE」で捉えています:
- Experience(経験):業務を通じて成長する機会(例:チャレンジングな業務、特別プロジェクト、後輩指導など)
- Exposure(曝露):他者の行動を観察・学ぶ機会(例:コーチとの協働、フィードバックの取得、シャドーイング、ネットワーキングなど)
- Education(教育):体系的な学習機会(例:講座、書籍、カンファレンスなど)
これら3つすべてをバランスよく取り入れた従業員育成戦略は、包括的な成長の道筋を提供し、バランスの取れた優秀な人材を育成することにつながります。さらに、こうした育成目標は、企業全体の目標とも連動していることが重要です。

このように、従業員と企業の双方にとって価値のある“スイートスポット”に位置する育成目標は、従業員のモチベーションを高め、会社の目指す方向性を理解する助けとなり、同時にビジネスニーズにも応えるものです。結果として、現代の職場環境で組織が成功を収めるための基盤が築かれるのです。
なぜ従業員開発が重要なのか?
前述の通り、従業員開発への投資は従業員にも企業にも恩恵をもたらしますが、それはキャリア開発を優先すべき理由のほんの一部にすぎません。ここでは、企業が従業員開発戦略を見直すべきさらなる4つの理由をご紹介します。
1. 優秀な人材を惹きつける
従業員は、自分がその組織の中で成長できるかどうかを重視しています。実際、ギャラップの調査によると、ミレニアル世代の59%が「応募先を決める際に、成長機会を非常に重要視する」と答えています。
応募・面接の段階で他社と差別化を図るためには、自社が提供している継続的なキャリア開発の機会を積極的に発信しましょう。自社で働くことで、将来の夢の職務に必要なスキルを身につけられることを候補者に伝えるのです。候補者にとって前向きな未来像を描いて見せることで、その人のキャリアの長期的な成長を真剣に考えており、一緒に成長していきたいという姿勢を示すことができます。
2. 従業員の定着を促進する
プロフェッショナルとしての成長支援は、優秀な人材を惹きつけるだけでなく、引き留めるためにも効果的です。これは、現在の労働市場の状況を踏まえると特に重要です。いわゆる「大退職時代(Great Resignation)」はいまだ進行中で、求職者が主導権を持つ市場となっているため、離職を防ぐ仕組みづくりはコスト削減にも直結します。
ヒントのひとつとして、Culture Ampのレポート「Why employee development should be HR’s top priority(なぜ社員育成が人事の最優先事項であるべきか)」によると、従業員の退職理由として最も多く挙げられたのが「成長機会の欠如」でした。その割合はなんと37.1%にものぼります。これはあまり驚くべき結果ではないかもしれません。従業員が「成長の余地がない」「学べる環境にない」と感じた場合、すぐにモチベーションを失い、組織の外に新たな挑戦や機会を求めてしまうのです。さらに、学習・成長の機会がないと感じている従業員は、今後12ヶ月以内に離職する可能性が2倍高いというデータも出ています。
離職防止のために学習開発に注力する方法としては、eラーニングの導入、社内メンター制度、あるいは「パッション・プロジェクト(社員の情熱を活かすプロジェクト)」の導入などが有効です。業務時間中に新しいスキルの習得や自身の成長に投資する時間を確保するよう、従業員に働きかけてみましょう。
3. 従業員エンゲージメントの向上
従業員エンゲージメントは、あらゆる企業にとって重要な指標です。エンゲージメントが高い従業員は、自分の仕事に対して意欲的であり、組織とのつながりを感じています。エンゲージメントとキャリア開発は密接に関係しています。なぜなら、仕事を通じて成長や挑戦を実感できると、従業員はより高いモチベーションを持ち、生産性や創造性も高まるからです。一方、成長の余地がないと感じる従業員は、やる気を失いやすくなります。こうした点からも、キャリア開発への投資は、企業にとって十分に価値のある取り組みだと言えるでしょう。
4. ビジネスパフォーマンスの向上
従業員の育成は、ビジネスの成果を高めることにもつながります。なぜなら、キャリア開発を通じて、従業員は業界の最新トレンドや、新しい技術、手法、業務プロセスに触れることができ、企業の効率向上やイノベーションの推進に貢献できるようになるからです。こうした成長は、貴社が市場の変化に柔軟に対応し、最先端のサービスや製品を提供するための原動力になります。結果として、顧客体験の向上にもつながります。
キャリア開発の真の価値は、従業員と企業の「共に成長する力」にあります。従業員は、企業にとって最も重要な資産です。彼らの成長への投資は、ロイヤルティと定着率を高め、職場全体の生産性と創造性を向上させます。これらの要素は積み重なることで、変化に強い「未来志向の組織」を築いていく礎となります。
もちろん、これらは感覚的な話ではありません。Culture Ampの最新レポート「なぜ従業員開発がHRの最優先事項であるべきか」(※英語リンク)では、従業員育成がエンゲージメント、定着率、そしてビジネスパフォーマンスの向上を導く主要な要因であることを、最新データと共に紹介しています。また、実際に育成に投資するための実践的な方法、ピープルサイエンティストによるベストプラクティス、そして組織内で何から始めるべきかといったヒントも提供しています。
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