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人事が“AIの波”をどう乗りこなすか

皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。今日は、日本でも注目される、HR領域でのAI活用について、大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Amp社の「AI in HR: How AI powers the future of human resources」を日本の読者様向けに訳したものです。


💡 関連ウェビナー|AI×HRシリーズ 第1回(参加無料)
AI×HRの現在地 ─ “人を支える人事”はどう変わるのか
📅 2025年11月14日(金)12:00–12:45|オンライン(Zoom)
🎙 ナビゲーター:ラボラティック株式会社 代表取締役 野口麗奈

🔍 具体的な学び・得られること
・世界のHR×AIトレンドと最新データを把握
・AI時代の“人事の存在意義”を再定義
・自社文脈に引き寄せる導入のヒント
・他社の視点や問いから考えを深める

🔗 お申し込み:[リンク]

https://peatix.com/event/4649838/view

AI×HRの現在地 ─ “人を支える人事”はどう変わるのか 本ウェビナーは、AI×人事をテーマに全3回でお届けするシリーズの第1回です。各回では、海外の最新動向をもとに、peatix.com

※本記事と連動する勉強会形式で進行します。

目次

  1. 人事におけるAIとは
  2. なぜ人事にAIが重要なのか
  3. 手作業ではもう追いつけない理由
  4. 人事におけるAIの実際のメリット
  5. 採用
  6. 従業員エンゲージメントと定着
  7. 継続的なパフォーマンス管理
  8. 人事分析におけるAIの重要性
  9. AIを人事戦略に統合する方法
  10. 1. 自社の現状を見極める

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人工知能(AI)がビジネスの業務プロセスにますます統合されていく中で、人事(HR)担当者がAIの仕組みを理解し、それを人事実務の支援にどう活用できるかを知ることは非常に重要です。本ガイドでは、AIを人事分野で最大限に活用するための考え方と、デジタル化が進む職場・労働環境の中でどのようにその変化に対応していくかについて解説します。

人事におけるAIとは

人事領域におけるAIとは、機械学習や自然言語処理などの人工知能技術を活用し、人事チームの業務効率を高めることを指します。AIツールは、膨大なデータを高速で処理し、パターンを見出し、計算を行い、設定されたアクションを自動的に実行することができます。

AIツールの中核にあるのは「アルゴリズム」です。これは、どのような処理を行い、どのような出力を生成するかをモデルに指示する数学的な式の連続体です。こうしたアルゴリズムによって、AIは複雑なタスクを実行することが可能になります。

人事チームがAIツールを活用できるようになると、より効率的に業務を進め、複雑な課題を短時間で解決し、従業員体験を改善・最適化することができます。たとえば、人事担当者はAIを活用して従業員の感情をより深く理解することが可能です。何千ものコメントを一つひとつ読む代わりに、AIが自動生成した要約と具体的な引用・参照情報を活用すれば、データに裏づけられた従業員体験の全体像を短時間で把握できます。

なぜ人事にAIが重要なのか

マッキンゼーの調査(英語リンク)によると、従業員はすでにAIの活用に前向きであり、リーダーが想定しているよりも3倍の割合で、日常業務にAIを取り入れていることがわかっています。さらに、Aon社の調査(英語リンク)では、約400名の人事専門家が「ピープルアナリティクス」「人材採用」「学習と能力開発」がAIの恩恵を最も受ける分野であると回答しています。

多くの企業は、膨大な従業員データを抱えながらも、それを十分に処理・分析できずに苦戦しています。特に定性的なデータの分析には多大な時間がかかりますが、AIはその状況を一変させる可能性を秘めています。

AI技術を取り入れることで、人事担当者は複雑なプロセスをより効果的に管理できるようになります。その結果、パフォーマンスとエンゲージメントを高めながら、モチベーションや定着率の向上にもつなげることができます。Culture Ampの調査によれば、人事担当者がAIを活用している業務には、メール作成、社内コミュニケーションの草案作成、新しいアイデアのブレインストーミングなどがあります。これらは戦術的な活用であり、既存業務の効率化や自動化には役立ちますが、AIが将来的に人事業務をどのように進化させうるかという“戦略的な側面”には、まだ十分に踏み込めていません。

もし人事チームがAIツールを安全かつ効果的に活用して業務負荷を軽減できれば、職場をより良い場所にするための本質的な取り組みに多くの時間を割くことができるようになります。それは組織全体にとってもプラスです。ポジティブな職場文化はビジネス成果と密接に関係しており、FTSE Russellの研究(英語リンク)では「Fortune 100 Best Companies to Work For®」に選ばれた企業は市場平均の3.68倍のパフォーマンスを示すことがわかっています。さらに、Culture Ampのピープルサイエンティストたちは、企業文化や従業員体験への投資が株価の上昇と正の相関を持つことを発見しています。


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第1回ウェビナーでは、この記事で触れた効率化/EX/戦略をまとめて整理。
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手作業ではもう追いつけない理由

多くの企業が、AIを組織成功のための「必須要素」とみなすようになっています。もしまだAIツールを導入していないのであれば、今こそAIがどのように成果に貢献できるかを検討する好機です。

たとえば、AIを活用したチャットボットは、従業員からの定型的な質問に自動で対応し、質問内容に応じて最適なリソースを提案できます。これにより、人事担当者はより戦略的な業務——たとえば、将来を見据えたスキル計画の策定——に集中できるようになります。AIは人間の仕事を奪うためのものではなく、従業員が必要なときに洞察やコーチング、サポートにアクセスできるようにするための「支援ツール」です。AIを活用することで、従業員が自信を持って行動できるようになるのです。

たとえば「リーダーシップ開発」を考えてみましょう。今日のマネジャーは、上層部の期待と部下のニーズの間でバランスを取りながら、チームを導き、育成し、力を引き出すことが求められています。彼らには支援が必要です。Culture Ampの「AI Coach」は、科学的根拠に基づいたコーチングを全マネジャーに提供できるよう設計されています。AI Coachは、マネジャーが直面する一般的な課題への答えを素早く見つけ、行動計画を立てるのを支援します。このようなAI対応ツールは、マネジャーのパフォーマンスを強化し、組織全体の戦略的成果を高めることにつながります。

人事におけるAIの実際のメリット

人事担当者がAIの機能を日々の業務にうまく統合できるようになると、組織にさまざまな効果的な変化が生まれます。たとえば、Culture Ampの顧客はAIを活用することで、パフォーマンスの要因を特定し、重要なエンゲージメントの傾向に優先順位をつけ、得られたインサイトをもとに迅速に行動を起こすことができます。これらは、Culture Ampの「Engage」および「AI Coach」などのプロダクトを通じて実現されています。

以下では、人事領域におけるAIの一般的な活用例をいくつか紹介します。なお、これらはAI導入の一般的な利点を示すものであり、Culture Ampがすべての機能を提供しているわけではありません。Culture AmpにおけるAIの活用については、公式ページでさらに詳しく知ることができます。

採用

新しい人材の採用には多くの時間と労力がかかりますが、AIツールを活用することで、採用担当者は「行動」から「成果」へとより速くつなげることができます。AIを搭載した採用支援ソフトウェアは、膨大な応募者データや履歴書を効率的に分析・選別し、候補者をスムーズに採用プロセスへ導くことができます。また、候補者とのエンゲージメント(関係性)を高めることも可能です。

従業員エンゲージメントと定着

Culture Ampの調査によると、エンゲージメントを重視する企業文化を醸成することで、従業員の定着と組織へのコミットメントを高めることができます。
従業員エンゲージメントを通じて定着を促進する鍵は、「サーベイを実施し、得られたフィードバックに基づいて行動を起こすこと」です。
AIツールを活用すれば、何千件ものサーベイコメントを自動的に要約し、「感情傾向」「主要テーマ」「トレンド」といった形で整理できます。これにより、意思決定をより迅速かつ的確に行えるようになります。AIを活用したサーベイツールでは、データをチーム別などにカスタマイズして閲覧することも可能です。たとえば、チームごとにエンゲージメントの要因がどのように異なるかをAIに抽出させ、各チームに最も重要な課題に基づいたアクションを取ることができます。

https://note.com/embed/notes/n6442c7a41931

継続的なパフォーマンス管理

多くのフィードバック情報を整理し、明確で行動につながるレビューにまとめるには、時間と労力が必要です。しかし、AIが自動生成する要約を用いれば、マネジャーや人事担当者は、目標やフィードバックに基づいた従業員のパフォーマンス全体像を迅速かつ正確に把握することができます。さらに、マネジャーはAIツールを活用して、従業員に対して「具体的」「バランスが取れた」「成長を促す」フィードバックを作成することができ、より意味のある人材育成を支援します。

人事分析におけるAIの重要性

Bersinの調査(英語リンク)によると、「ピープルアナリティクス(人材データ分析)」を、体系的なビジネス分析実践へと昇華させている企業は次のような成果を上げています。

  • 労働生産性が3倍高い
  • 従業員のエンゲージメントと定着率が4倍高い
  • 財務目標の達成率が3倍高い

今日の企業は膨大なデータにアクセスできるようになっていますが、その量の多さに圧倒されることもしばしばです。AIをピープルアナリティクスと組み合わせることで、人事チームは人材データから価値ある洞察を素早く抽出できるようになります。AIはパフォーマンスレビュー、昇進履歴、スキル情報などの大規模データセットを処理し、HRリーダーが最適な意思決定を下すための明確な分析を提示します。

Red Thread Researchの共同創設者で主任アナリストのスタシア・ガー氏は、Culture First Globalのセッションで次のように述べています。
「このテクノロジーの素晴らしい点は、データの理解度が異なる人々でも、情報やデータを自然言語で読み解けるようにしてくれることです。」

Culture Ampのようなプラットフォームは、AIを活用してピープルアナリティクスをさらに使いやすく進化させています。Culture Ampの「Explore Data」機能は、AIを搭載したツールであり、人事担当者が社内の誰にでもセルフサービス型の分析を提供できるようにします。たとえば、「エンジニアリング部門の離職率はどのくらい?」といった自然な言葉で質問するだけで、リアルタイムでわかりやすい回答を得ることができます。

AIを人事戦略に統合する方法

AIは人事の取り組みを強力に支援しますが、重要なのは「どのようなAI技術を導入するか」と「どのように安全かつ効果的に実装するか」を慎重に検討することです。ここでは、人事のワークフローにAIツールを統合する際の実践的なステップを紹介します。

1. 自社の現状を見極める

AIツールの導入は、段階的に進めることをおすすめします。まずはパイロットプロジェクトとして、即効性のある分野にAIを試験導入してみましょう。
たとえば、新入社員ごとに最適化されたオンボーディング体験の設計や、ピープルアナリティクスの強化を通じて、人事・経営層が必要なときに自らデータ分析にアクセスできるようにすることなどが考えられます。

2. 適切なAIツールを選定する

AIツールを選ぶ際には、現在および将来の組織・部門の目標を考慮し、「AIを使ってより速く、より賢く働けるか」という観点で検討することが大切です。

意思決定に必要な定性データを集めるために、Culture Ampのサーベイを活用して従業員からフィードバックを得るのも有効です。Culture Ampのサーベイには、AI活用に関する質問項目もあり、従業員がAIをどのように活用しているか、またどの領域に最も効果を感じているかを把握することができます。

AIツールを評価する際には、データセキュリティとプライバシーの確保既存システムとの統合性ユーザビリティサポートやトレーニング体制を優先的に確認しましょう。また、導入前に「概念実証(Proof of Concept)」を実施し、自社に本当に価値をもたらすかをテストすることもおすすめします。

3. 経営層の理解と支援を得る

経営層は、財務成果への貢献や戦略的成功を支援するテクノロジー投資を重視します。AI導入を進める際は、エグゼクティブスポンサーと連携し、組織と従業員の双方に最も価値をもたらすパイロットプロジェクトを選定しましょう。進捗や成果は定期的に共有し、透明性のある推進を心がけることが重要です。

4. チームのトレーニングとスキルアップ

AIソリューションの価値をチーム全体が理解できるよう、導入初期段階でトレーニングやチェンジマネジメントに投資しましょう。AIツールがどのように業務を補完し、どのように組織の成功を加速させるのかを明確に伝えることが大切です。

AIはポジティブな期待と同時に、不安や懸念も生みやすいテーマです。チーム内で率直な対話を促し、質問や不安を共有しながら進めましょう。さらに、従業員にAIツールを実際に使ってもらう機会を設けることで、AIを「概念上のもの」から「日常業務に欠かせないツール」へと変えることができます。

5. 責任あるAI活用を優先する

AIは「何をするか」ではなく、「どのように行うか」を変える技術です。AIを導入しても変わらないのは、従業員の個人情報を守ることの重要性です。導入前に、AI活用に伴うプライバシーリスクを理解し、従業員に安全かつ適切な使い方を教育する必要があります。

Culture AmpのChief People Officerであるジャスティン・アングスワット氏は次のように述べています。
「責任あるAIの活用は極めて重要です。特に、人に関わる結果を扱う場合には、プライバシー、信頼、コントロール、そして正確性が問われます。人材データを無造作にAIに投入して『うまくいくだろう』と期待するような単純な話ではありません。」

Culture Ampでは、すべてのAI機能を人間の能力と意思決定を補完するものとして設計しています。ユーザーがAIとどのように関わっているかを明確にするため、同意画面、AIに関する開示文、視覚的なアイコンや文章による通知を通じて、常に「今AIを使っている」ことを意識できるよう配慮しています。また、AIが生成したコンテンツをレビューする際のステップも明確に案内し、透明性を確保しています

Culture Amp AIで人事チームを変革する

Culture Ampは、AIが「働き方そのものを根本的に変える」変革的テクノロジーであると考えています。組織心理学と機械学習の専門家によって開発されたCulture Amp AIは、過去10年間にわたり世界中の高業績チームを対象に収集した13億件以上のデータポイントに基づいて設計されています。

このデータと知見を活かし、Culture Amp AIは人事チームの高いパフォーマンスの促進業務効率の向上、そして行動につながるインサイトの創出を支援します。AIを活用することで、人事の意思決定はより迅速かつ的確になり、組織全体が「人を中心にした進化」を遂げることができるのです。


📅 勉強会のご案内(AI×HRシリーズ 第1回)

AI×HRの現在地 ─ “人を支える人事”はどう変わるのか

  • 日時: 2025年11月14日(金)12:00–12:45
  • 形式: オンライン(Zoom)/参加無料
  • 主催: ラボラティック株式会社
  • ナビゲーター: 野口麗奈(代表取締役)
  • 進め方: 講義+データ・事例共有+全体ディスカッション(勉強会形式)
  • 具体的な学び・得られること
    • HR×AIの最新トレンドとデータを俯瞰
    • “人を支える人事”を軸にAI活用を設計
    •  自社に合わせた最初の一歩を明確化
    •  他参加者の視点をヒントに思考を深化
  • 申込: こちらから(所要1分)

AI×HRの現在地 ─ “人を支える人事”はどう変わるのか 本ウェビナーは、AI×人事をテーマに全3回でお届けするシリーズの第1回です。各回では、海外の最新動向をもとに、peatix.com

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