laboratik

News

laboratik エンゲージメントの高い従業員について、私たちが理解しておくこと

エンゲージメントの高い従業員について、私たちが理解しておくこと

皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?
ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。
今日は、従業員エンゲージメントの高いメンバーが、職場で具体的にどのような行動をしているかについて、研究結果を交えた大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。

注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Ampの「Understanding what an engaged employee looks like」を日本の読者様向けに訳したものです。

目次

  1. エンゲージメントの高い従業員の行動とは?
  2. 従業員エンゲージメントは燃え尽き症候群の対極にある
  3. エンゲージメントの高い従業員は、より良い行動を心がける
  4. 熱心な従業員はフロー状態で職務にあたっている
  5. なぜ、従業員のエンゲージメントを認識することが重要なのか?
  6. 参考リンク
  7. 関連記事
  8. 関連リンク

私たちは、誰かの喜びや悲しみ、その人が落ち着いているのか、動揺しているかといった感情の揺らぎをある程度、日常生活の中で察することができます。こういった感情は一般化されていて、誰しもが明白だと感じるものですし、また、その感情を察するのも、幼少期から培ってきているのではないでしょうか。しかし、皆さんの周りの同僚や従業員が、自分の仕事に対して高いエンゲージメントを示しているか? というのは、前述のような感情を察するよりも、より複雑に感じることが多いはずです。それでは、エンゲージメントが高い従業員とはどのような方を示すのでしょうか?

カルチャーアンプでは、従業員エンゲージメントを、従業員が組織に対して抱いている熱意やつながりの程度と定義しています。従業員エンゲージメント調査(アンケート)は、従業員が会社や組織に対してエンゲージしているかどうか、また何がエンゲージメントの原動力となっているかを理解するための最適な手段といえます。Culture Ampの従業員エンゲージメント調査では、学術的かつ統計的な指標を活用し、5つの質問カテゴリ(従業員の誇り、推薦、モチベーション、現在のコミットメント、将来のコミットメント)を用い、従業員のエンゲージメントを計測しています。

従業員にアンケート調査を実施するだけでなく、従業員のある行動も、彼らのエンゲージメントを示すと言われています。労働・組織心理学の研究者であるユトレヒト大学(オランダ等に在籍)のウィルマール・シャウフェリ教授は、従業員エンゲージメントの具体的な従業員の行動について研究しています。

職場での従業員のエンゲージメントを示す特定の行動を理解することで、私たちは、より従業員エンゲージメントを知識と共に体感し、さらなる理解を深めることができるはずです。

エンゲージメントの高い従業員の行動とは?

従業員エンゲージメントは燃え尽き症候群の対極にある

従業員のエンゲージメントが高い時の行動は、バーンアウトの対極にあると考えられています。シャウフェリ教授と他の3人の研究者は、バーンアウトとエンゲージメントが対極に位置付けられるという仮説を検証し、その仮説を支持する結果を得ました。エンゲージメントの高い従業員は仕事をすると活力が満ちるのを感じますが、バーンアウトを経験した人は帰宅後に、極度の疲労を感じているということが判明しました。この結果は重要な示唆を与えいると言えるでしょう。なぜなら、従業員エンゲージメントの高さは彼らを長時間の労働に駆り立てている一方で、従業員がこういった長時間労働に対しても何らかの悪影響を与えるどころか、ポジティブな心の状態を維持しているからです。驚くことに、エンゲージメントが高い従業員は、自分の仕事に喜びを感じており、「早く仕事を終わらせて帰りたい」といった心持ちを抱いていないのです。

エンゲージメントの高い従業員は、より良い行動を心がける

エンゲージメントの高い従業員は、言われずとも、同僚を助けたり、自ら職務内容の範疇を超えて業務に従事することが分かっています。学術的には、このような行動は組織市民行動(OCB)または裁量的努力と呼ばれます。研究者のブルース・ルイス・リッチは、従業員のエンゲージメントを支援する環境があれば、エンゲージメントの高い従業員がOCBを率先して行うことを発見しました。

リッチ氏は、前述の結果をこのように説明しています。
「(エンゲージメントの高い従業員は)自分の役割を理解し、その役割を全うするために、何に対して効果的に貢献すべきかといったことに、全力で取り組んでいるのです」

さらに、1990年から2010年までの論文を対象とした追加のメタ分析の結果からも、エンゲージメントは、従業員の職務満足度、職務関与、組織コミットメントを超え、自分の役割範疇より遥かに広い範囲で成果を発揮することを示唆しています。

熱心な従業員はフロー状態で職務にあたっている

ところで、エンゲージメントの高い従業員は、より長い時間働くということがデータからも分かっています。だからといって、エンゲージメントの高い従業員が恒常的に残業をしているわけはありません。また、こういった事実を元に、長時間労働を推奨したいわけでもありません。
しかし、なぜ彼らは長時間にわたって業務に従事しているのか? という問いは考えるに値するはずです。
ひとつの理由として考えられるのは、エンゲージメントの高い従業員はフロー状態に入るため、集中力が持続するということです。仕事をしていて、気付かぬうちに(楽しくて)あっという間に時間が経っていて、驚いた経験はないでしょうか。これこそが、フロー状態です。エンゲージメントの高い従業員が自身の職務に全力投球するのと同じ状態といえます。

ハーバード大学医学部助教のエドワード・フィリップス医学博士は、フロー体験について次のように説明しています。
「フロー体験は、個人の活動の難易度とそれを実行するスキルのバランスが適切にとれている(調和している)際にに起こります」
活動の難易度が低く、対する個人のスキルが高い場合には、退屈してしまします。裏を返せば、自分のスキルに対して難易度が高い状態では、目の前のタスクに苛立ち、圧倒されてしまうとも言えるのです。

企業は、従業員が職場でフロー状態を体験できるような環境を整えていかねばなりません。職場で従業員のフロー状態を促すために意識することの一例として、不必要な介入を減らした上で、従業員にとってタスクの難易度とスキルの調和が取れた、まさにスイートスポットを見つけられるように支援していくといった取り組みがあげられます。

なぜ、従業員のエンゲージメントを認識することが重要なのか?

私たち一人ひとりが、従業員エンゲージメントと紐づく具体的な行動にも精通すると、職場における従業員エンゲージメント自体のをさらなる理解にもつながります。従業員エンゲージメントの高さからもたらされる個人の行動とは、私たちが日々、職場で目にして受け取れる、従業員エンゲージメント調査(アンケート)の結果とすら言えるのです。共に働く職場の仲間の燃え尽き症候群を予防し、各自がフロー状態で仕事に向き合うことは、エンゲージメントとも密接に関連しているビジネス的な成果である、顧客満足度、生産性、自社の利益など、多方面にわたって、喜ばしい成果を牽引していくのです。

《この記事に関するお問い合わせ》
ラボラティック株式会社 広報担当
https://laboratik.com/

Culture Ampのプラットフォームに関する日本語でのお問い合わせはこちらへ。

参考リンク

本文で出てきたフローについて、ご興味のある方は以下もご確認ください。

●フロー理論の提唱者・チクセント・ミハイ博士(出典:TED)
*日本語の翻訳文があります
Flow, the secret to happiness *音声が出ます

Flow, the secret to happinessMihaly Csikszentmihalyi asks, “What makes a life worth livingwww.ted.com

幸せの秘密という視点からフロー状態について語っている、大変興味深い動画です。
「Read Transcript」を押下>画面右側の「Transcript (34 Languages)」の下のボックスから、日本語を選ぶと、本動画の日本語訳が表示されます。

●学術的にフローについて説明されている資料(出典:熊本大学 e-ラーニング授業設計支援室)
 フロー理論とは? ‐学習への応用の可能性

関連記事

https://note.com/embed/notes/n96bf3d81ac94

https://note.com/laboratik/n/nc2424d7ce329

Contact

お問い合わせフォームから
お気軽に問い合わせください。

/