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データを活用して、従業員体験をより魅力的にするには

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皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。今日は、グローバル企業におけるデータ活用について、大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。
注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Amp社の「Harnessing data to create an engaging global employee experience」を日本の読者様向けに訳したものです。

目次

  1. 従業員エンゲージメントはビジネスの推進力
  2. 魅力的な従業員体験のつくり方:Benchmark社からの学び
  3. エンゲージメントとインクルージョンを高めるためのセグメント分析の活用
  4. 従業員中心のアクションプランで意味のある変化を実現する
  5. エンゲージメント向上に向けた継続的な取り組み
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  7. 関連リンク

急速に変化する現代の職場において、「従業員にとって本当に魅力的な体験」をつくることは、これまで以上に重要になっています。特に、世界中に多様な人材が分散して働くグローバル企業にとっては、その実現は大きな挑戦でもあります。

Culture Ampのリード・ピープルサイエンティストであるエリカ・パクマン(Erica Pachmann)は、最近のウェビナーで、Benchmark社のチーフ・ヒューマンリソース・オフィサー(CHRO)であるロンダ・ビュースマン(Rhonda Buseman)氏と対談しました。Benchmark社は、8カ国に12,300人の従業員を抱えるグローバル製造企業です。同社がどのようにデータを活用して、目的意識を持った魅力的な従業員体験を構築しているのかについて語られました。

この記事では、その対談の中から、特に印象的だったポイントや実践的な学びをご紹介します。

従業員エンゲージメントはビジネスの推進力

Benchmark社にとって、従業員エンゲージメントは単なる流行語ではありません。同社では、エンゲージメントを「組織全体の健康状態を示す重要なバロメーター」として捉えており、実際に主要なKPIのひとつに位置付けています。Benchmark社のビジネス戦略における5つの中核的な柱のうちのひとつは、「魅力的な従業員体験の提供」です。

Benchmark社は、従業員のエンゲージメントがビジネスの成功と密接に関係していることを理解しています。同社の考えでは、社員のパフォーマンスが業務パフォーマンスにつながり、さらにそれが財務パフォーマンスへと結びつくという一連の流れがあるのです。そして、それらの基盤となるのが、「人が働きたいと思い、働き続けたくなるような、包括的で温かみのある企業文化」です。

ロンダ・ビュースマン氏はこう語ります。
「長期的に財務的成功を収める企業をつくるためには、“人”に焦点を当てる必要があります。人が何に価値を感じ、何によってエンゲージメントが高まるのか。そして、自発的に力を発揮したいと思えるかどうか——それこそが鍵なのです。」

魅力的な従業員体験のつくり方:Benchmark社からの学び

改善ポイントの特定とサーベイ参加率の向上
Benchmark社では現在、従業員の声や職場満足度を把握するために、定期的にエンゲージメントサーベイを実施しています。しかし、Culture Ampを活用した最初のグローバル規模の「エンゲージメント&インクルージョン・サーベイ」を開始したのは、実は2021年の秋でした。

この最初のサーベイで明らかになったのは、「コミュニケーション」が大きな改善機会であるということでした。多くの従業員が、「会社が長期ビジョンや戦略を十分に伝えていない」と感じていたのです。

この結果を受けて、Benchmark社は「インターナルコミュニケーション担当ディレクター」を新たに採用し、社内コミュニケーション機能を立ち上げました。この2つのアクションは、サーベイの結果と参加率の両方に大きなポジティブな影響を与えました。

ロンダ氏は嬉しそうに、次のように述べています。
「2021年秋の参加率は77%でしたが、2024年秋には90%にまで上昇しました。これは本当に驚くべき成果です。特に、製造業の現場では、従業員の多くがパソコンにアクセスしにくい環境にあることを考えると、なおさらです。」

この参加率の向上には、社内向けマーケティングキャンペーンの効果も大きかったといいます。当時着任したばかりのインターナルコミュニケーションディレクターが中心となって、以下のような取り組みを展開しました:

  • サーベイへのアクセスを簡素化するため、工場の現場にQRコード付きのポスターを掲示。従業員がスマートフォンでスキャンするだけで、簡単に回答できるようにしました。
  • メールやデジタル配信だけでなく、現場のリーダーたちが直接チームにサーベイを促す仕組みを導入。例えば、製造部門のスーパーバイザーがQRコード付きのバッジを着用し、従業員に自然とサーベイを案内できるようにしました。

エンゲージメントとインクルージョンを高めるためのセグメント分析の活用

複数の国にまたがる多様な人材で構成された自社の従業員基盤を認識した上で、Benchmark社はエンゲージメントおよびインクルージョン調査のデータから、より深い洞察を得るためにセグメンテーションを積極的に活用しています。この分析により、特定のグループがどのように反応しているかを把握し、それぞれのグループに合わせた“精密な”対応を取ることで、エンゲージメントの向上を図っています。

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Culture Amp社の記事より

Rhondaは、Culture Ampに備わっているレポート機能を特に高く評価しています。自動生成されるダッシュボードにより、スコアの高い拠点の成果を容易に特定して称賛できるだけでなく、スコアの低い製造拠点に対しては、必要に応じて追加の支援や注意を向けることができます。

また、セグメンテーションの活用により、従業員グループごとのニーズや期待に合わせてエンゲージメント施策を調整することが可能になりました。これにより、よりパーソナライズされた、魅力的な従業員体験の提供が実現しています。

従業員中心のアクションプランで意味のある変化を実現する

Benchmark社では、マッキンゼー・アンド・カンパニーのインフルエンス・モデルに基づいた4つの主要なアクションを軸に、アクションプランを策定しています。

  1. リーダーによるロールモデリング
  2. 変革の必要性を明確に説明すること
  3. 公式な制度やツールの導入
  4. 必要に応じた従業員の教育とトレーニング

このモデルは、単なる行動の実行にとどまらず、従業員のマインドセットや行動変容に働きかけることを重視しています。Benchmark社のリーダーたちは、変化を効果的に促すために、従業員の根本的な考え方に向き合っています。

調査の実施後、Rhondaはリーダーたちとアクションプラン策定のセッションを行い、リーダー自身が変化のロールモデルとなる方法や、ポジティブな行動を支援するインセンティブやトレーニングの提供方法について共有しています。

セッションでは、リーダー同士が協力して、アクション項目・担当者・期限をまとめたExcelシートを作成します。また、重点領域を特定し、インフルエンス・モデルとの整合性を確認しながら計画を立てます。

「このアプローチは、単なるアクションプラン作成にとどまらず、より深く、意図のある取り組みになっており、私たちの成功に大きな影響を与えていると感じています」とRhondaは語ります。

エンゲージメント向上に向けた継続的な取り組み

エンゲージメントは一度きりの取り組みではなく、継続的な旅路です。Benchmark社は、エンゲージメント施策が常に従業員にとって意味のあるものであり続けるためには、アプローチを進化させていくことの重要性を深く理解しています。同社の目標は、前年と同じ取り組みを繰り返すのではなく、施策の水準を一段階引き上げることです。「毎年、“今年の施策は昨年よりも洗練されている”と感じられるように工夫しています」とRhondaは語ります。

過去3年間にわたり、従業員のエンゲージメント体験をビジネスの中核的な優先事項として位置づけてきた結果、Benchmark社では以下のようなポジティブな変化が見られました:

  • 会社が多様性を重視している」と回答した従業員の割合が8%増加
  • 優れた業績が認められ、報われている」と感じる従業員の割合が7%増加
  • 会社が率直かつ誠実なコミュニケーションを行っている」と感じる従業員の割合が8%増加

さらに、このエンゲージメント調査を通じて、従業員同士のつながりや自身の仕事の意義をより深く理解する必要性が明らかになり、それに応える形で企業の「パーパス・ステートメント」が策定されました。全世界12,000人の従業員を対象に、「私たちは世界をもっと○○に、○○に、そして○○にする手助けをしています」という文を完成させてもらうグローバルキャンペーンが実施されました。

選ばれたパーパスは次のとおりです:
「私たちは、より健やかで、安全で、つながりある世界を実現するためにイノベーションを起こし、明るい未来をつくっていきます。」
このメッセージは、Benchmark社が手がける重要な医療機器、防衛機器、衛星技術、5G技術といった事業領域を象徴するものであり、従業員全員が自分の仕事の意味と影響を実感できるようなメッセージとなりました。

このようにインクルーシブなアプローチで企業の存在意義を明文化したことは、Benchmark社にとって大きな成果であり、「人を中心に据えたカルチャーづくり」に向けた強固な土台となりました。

今後もBenchmark社は施策の洗練を続けていきますが、これまでの成功から得られた最大の教訓は、「人とカルチャーを最優先にすることは、倫理的に正しいだけでなく、ビジネスとしても最善の選択である」ということです。

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