
データを活用して、魅力的なグローバル従業員体験を実現する

皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。今日は、グローバルな視野での従業員体験について、大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Amp社の「Harnessing data to create an engaging global employee experience」を日本の読者様向けに訳したものです。
目次
・ビジネスを推進する重要な要素としての従業員エンゲージメント
・魅力的な従業員体験をつくる:Benchmark社からの重要な学び
・サーベイ結果のセグメント分析によるエンゲージメントとインクルージョンの向上
・従業員中心のアクションプランニングによって、意味のある変化を実現
・エンゲージメント向上に向けた継続的な取り組み
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今日の急速に進化する職場において、真に魅力的な従業員体験を創出することはこれまで以上に重要になっています。これは特に、グローバルに展開する企業にとって当てはまることであり、多様で分散した従業員に響く施策を確実に実施することは、大きな挑戦でもあります。
最近開催されたウェビナーにて、Culture Ampのリード・ピープルサイエンティストであるエリカ・パックマン氏が、グローバル製造企業であるBenchmark社(以下、Benchmark)のチーフ・ヒューマンリソース・オフィサー(CHRO)、ロンダ・ビュースマン氏と対談しました。Benchmarkは、8か国に12,300人の従業員を抱える企業であり、データを活用していかに目的ある魅力的な従業員体験を構築しているかについて語りました。
以下に、彼女たちの対話から得られた主な洞察と学びを共有します。
ビジネスを推進する重要な要素としての従業員エンゲージメント
Benchmark社において、従業員エンゲージメントは単なる流行語ではなく、組織全体の健全性を示す重要な指標です。実際、同社ではこれを主要なKPI(重要業績評価指標)の一つと位置づけています。Benchmarkのビジネス戦略の5つの柱のうちの1つが「魅力的な従業員体験の提供」です。

Benchmarkは、従業員エンゲージメントがビジネスの成功と直接結びついていることを認識しています。上図に示されているように、Benchmarkは「人材のパフォーマンスがオペレーションの成果につながり、それが財務成果へとつながる」と考えています。この全体の基盤となっているのが、「人々が働きたい、留まりたいと思う、包括的で歓迎される企業文化」です。
ロンダ氏は次のように語っています。
「長期的に財務的に成功する企業を築くには、人材に焦点を当てる必要があります。人にとって何が重要か、エンゲージメントを高める要因は何か、そして自発的な努力をする意欲と能力に注目することが不可欠です。」
魅力的な従業員体験をつくる:Benchmark社からの重要な学び
改善の余地を特定し、サーベイ参加率を高める取り組み
Benchmark社では現在、従業員の意識や職場に対する満足度を把握するため、定期的にエンゲージメントサーベイを実施していますが、Culture Ampと連携して初のグローバル・エンゲージメント&インクルージョン・サーベイを実施したのは、2021年秋のことでした。
この初回サーベイでは、社内コミュニケーションが重要な改善ポイントであることが明らかになりました。多くの回答者が「会社が長期的なビジョンや戦略をうまく伝えていない」と感じていたのです。
この結果を受けて、Benchmark社はインターナルコミュニケーションディレクターを新たに採用し、社内コミュニケーション専門の機能を立ち上げました。これら2つの取り組みにより、サーベイの結果と参加率に大きな改善が見られました。
ロンダ氏は次のように述べています。
「2021年秋には77%だったサーベイ参加率が、2024年秋には90%にまで上昇しました。これは、現場で働く製造スタッフが大多数を占め、コンピューターへのアクセスが限られている製造業においては、非常に注目すべき成果です。」
この参加率の向上は、当時新しく就任したインターナルコミュニケーションディレクターが企画した社内マーケティングキャンペーンにも支えられていました。
- 工場内の至る所にQRコード付きのポスターを掲示し、従業員が簡単にスキャンしてサーベイにアクセスできるように。
- メールやデジタル通知に加え、リーダーたちが自らチームメンバーにサーベイを促進。例えば、製造現場のスーパーバイザーたちは、サーベイにアクセスできるQRコードが印刷されたバッジを着用していました。
サーベイ結果のセグメント分析によるエンゲージメントとインクルージョンの向上
Benchmark社では、複数の国にまたがる多様な人材で構成されている自社の従業員構成を踏まえ、エンゲージメント&インクルージョンサーベイのデータをセグメント分析によって深く掘り下げて活用しています。これにより、特定のグループがどのように反応しているかを可視化し、それぞれのグループに合った「外科的」なアクションを取ることで、エンゲージメントの向上を目指しています。

ロンダ氏は、Culture Ampのレポート機能の充実ぶりを特に高く評価しています。自動生成されるダッシュボードによって、スコアの高い拠点の成果を簡単に把握・称賛できるだけでなく、スコアの低い製造拠点にも迅速に対応し、必要なサポートや注意を向けることが可能になっています。
また、このセグメント分析により、Benchmark社はエンゲージメント施策を従業員グループごとのニーズや期待に応じて柔軟に調整することができ、より個別最適化された魅力的な従業員体験の提供を実現しています。
従業員中心のアクションプランニングによって、意味のある変化を実現
Benchmark社では、アクションプランニングにおいてマッキンゼー社の「インフルエンスモデル(影響モデル)」に基づく4つの主要なアクションを実践しています。
- リーダーによるロールモデリング
- 変化の必要性を明確に伝えること
- 公式な制度やツールの導入
- 必要に応じた教育やトレーニングの提供
このモデルは、単なる行動の実施ではなく、従業員のマインドセットと行動を変えることに焦点を当てています。Benchmarkのリーダーたちは、効果的な変化を促すために、従業員の根本的な思考様式に働きかけています。
各サーベイ実施後、ロンダ氏はリーダーたちとアクションプランニングセッションを開催し、リーダーが変化のロールモデルとなる方法や、インセンティブの提供、そして新たなポジティブな行動を支えるためのトレーニングの重要性について共有しています。
セッションでは、リーダー同士が協力して、アクション項目・責任者・実施期限などを記載したExcelシートを作成します。また、注力すべき領域を特定し、行動が影響モデルと整合するように設計します。
ロンダ氏はこう語っています。
「このアプローチは、単なるアクションプランニングを超えた、より深く考え抜かれた手法です。そしてそれが、私たちの成功に大きな影響を与えていると感じています。」
エンゲージメント向上に向けた継続的な取り組み
エンゲージメントは一度きりの取り組みではなく、継続的な旅路です。Benchmark社は、従業員エンゲージメントのアプローチを常に進化させることの重要性を十分に理解しています。取り組みを繰り返すだけではなく、毎年より高いレベルに引き上げることを目指しています。ロンダ氏はこう説明します。
「毎年、見た目も感触もより洗練されたものにアップデートするよう心がけています。」
過去3年間にわたり、「従業員にとって魅力的な職場体験」を事業戦略の中核に据えてきたことで、Benchmark社では以下のような成果が見られました。
- 「この会社は多様性を重視している」と回答した従業員の割合が8%増加
- 「この会社は卓越した貢献を認め、称賛している」と回答した従業員の割合が7%増加
- 「この会社は率直で誠実なコミュニケーションを行っている」と回答した従業員の割合が8%増加
さらに、エンゲージメントサーベイの結果を受けて、Benchmark社では「従業員同士がつながり、自身の仕事の意義を理解することができる」目的意識を明確にするための取り組みも行いました。
同社は全従業員12,000人を対象に、「私たちは、世界を○○で、○○で、○○にすることに貢献しています」という文を完成させる、グローバルキャンペーンを展開しました。
選ばれたのは次のようなステートメントでした。
「より明るい未来のために、健康で、安全で、よりよくつながる世界を実現するためにイノベーションを起こす」
このメッセージは、Benchmark社が手がける重要な医療機器、防衛関連の生命保護機器、衛星技術、5G技術などの社会的意義を強調するものでした。
このように、会社の目的を従業員とともに定義した包括的なアプローチは、従業員が自分の仕事の目的を理解し、最大限の力を発揮できる、「人を中心に据えた文化づくり」の大きな成果となりました。
Benchmark社は今後も取り組みを洗練させ続ける方針ですが、初期の成果が示すのは、「人とカルチャーを最優先にすることは、人間として正しいだけでなく、企業としても賢明な選択である」ということです。
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