
1on1ミーティングを「戦術的な進捗確認」で終わらせないために

皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。今日は、1 on 1を一歩先に進められるような、大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Amp社の「Ensuring 1-on-1 meetings go beyond tactical performance」を日本の読者様向けに訳したものです。
目次
- CAMPSモデルとは?
- 1. Certainty(確実性)
- 2. Autonomy(自律性)
- 3. Meaning(意味)
- 4. Progress(成長実感)
- 5. Social Inclusion(社会的受容)
- 次のステップ
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〜エンゲージメントを高める1on1の進め方〜
1on1ミーティングは、従業員エンゲージメントを高める「王道」と言われています。実際、マネージャーと定期的に1on1を行っている従業員は、そうでない人に比べて3倍エンゲージメントが高いという調査結果もあります。
一方で、設計や進め方を誤ると、1on1はチームの時間とリソースを浪費する「厄介な会議」になりかねません。
マネージャー研修を提供するLifeLabs Learningでは、「効果的な1on1とは何か?」をテーマに何千人ものマネージャーを調査してきました。私たちが導き出した答えは、優れたマネージャーは、部下のエンゲージメントに直結する「5つの欲求」に応える形で1on1を設計しているということです。
その5つの欲求を記憶しやすくするために、CAMPSモデルというフレームワークを開発しました。
CAMPSモデルとは?
- Certainty(確実性)
- Autonomy(自律性)
- Meaning(意味)
- Progress(成長実感)
- Social Inclusion(社会的受容)
ここからは、1on1を「ただの業務確認」に終わらせず、部下のエンゲージメントを高めるための具体的なヒントを、5つの観点ごとに紹介します。
1. Certainty(確実性)
1on1は「儀式的なつながりの場」として機能します。そして、すべての儀式と同様に、定期性と予測可能性によってその効果が発揮されます。
優れたマネージャーは、1on1を「神聖な時間」と捉えます。直前にキャンセルしたり、会話中に気が散ったりすることなく、相手にしっかり向き合います。これにより、両者にとって安心感が生まれ、不安の軽減にもつながります。
また、1on1では「期待値のすり合わせ」を通じて確実性を高めることができます。進捗報告などはスプレッドシートやカンバンツールで管理し、部下が「もっと明確にしたい」と思っている領域に焦点を当てるとよいでしょう。

📌質問例:
「今の仕事の中で、もっと明確さ・ルーティン・予測可能性がほしいと感じている部分はありますか?」
2. Autonomy(自律性)
自律性は、仕事に対する幸福感や満足度と強く相関しています。とはいえ、自律性の「自由度」がスキルレベルに見合っていないと逆効果です。
スキルを超える範囲で自律性が求められると、成長感が失われ、逆にエンゲージメントが下がってしまいます。1on1では、「どこにもっと柔軟性やサポートが必要か?」を確認していきましょう。
📌質問例:
「自分の仕事をどのくらい『自分の裁量で動かせている』と感じていますか?」
「もう少し自由度が欲しいと感じている部分はありますか?」
3. Meaning(意味)
人間は「意味を見出す生き物」だと、長年人類学でも言われてきました。従業員が「自分の仕事が大切な概念につながっている」と感じると、エンゲージメント・満足度・生産性が向上するという研究もあります。
1on1では、「会社のミッション」とのつながりを超えて、部下自身が重視している価値観と仕事をつなげる会話を意識しましょう。
📌質問例:
「あなたが仕事の中で最も充実感ややりがいを感じるのは、どんな場面ですか?なぜそう感じるのでしょうか?」
4. Progress(成長実感)
職場での「幸福感」の最大の要因の一つが、「自分は前進している」という感覚です。大きな成果よりも、日々の小さな達成感の積み重ねが重要だと言われています。
優れたマネージャーは、1on1の冒頭で「最近うまくいったこと」を聞くことから始めます。また、フィードバックやキャリア開発にも積極的に1on1を活用します。
おすすめは、四半期ごとにキャリア目標の深掘りミーティングを設定し、週次では簡易な進捗確認を行うことです。

📌質問例:
「最近、どんなことについてもっとフィードバックが欲しいと感じていますか?」
「それがあなたにとって大切な理由は何でしょうか?」
5. Social Inclusion(社会的受容)
私たちには「社会に受け入れられたい」という根源的な欲求があります。この欲求が満たされないと、脳はそれを「物理的な痛み」として認識するとまで言われています。
1on1では、部下が「チームに受け入れられている」と感じられるよう配慮しましょう。
雑談も効果的です。特にリモート環境では、信頼関係を築くうえでの雑談は決して軽視できません。
また、1on1を活用して部下の人脈の広がりをサポートしたり、チーム内の信頼・会議での包摂性・人間関係の摩擦などについても確認してみましょう。
📌質問例:
「今の職場で“自分らしくいられる度合い”を1〜10で表すとしたら何点ですか?その数値を1ポイント上げるために何が必要ですか?」
次のステップ
1on1は、マネージャーが使える最もシンプルかつ強力なエンゲージメント施策です。
より良い1on1を目指すなら、部下一人ひとりと一緒にアジェンダのテンプレートを共同で設計することをおすすめします。すでに使用しているフォーマットがある場合は、それを最適化することから始めましょう。
Culture Ampの「1on1ガイド(英語)」もぜひ参考にしてください。
《この記事に関するお問い合わせ》
ラボラティック株式会社 広報担当