
従業員の離職を抑える「5つの秘訣」

皆さん、こんにちは。生産性高く、幸せな職場づくりは進んでいますか?ラボラティック株式会社代表の野口麗奈です。今日は、離職を抑える5つの秘訣について、大変興味深い記事をお届けします。ぜひ、皆さんの組織運営のヒントになれば幸いです。注:記事の出典は、ラボラティックとパートナ関係にある、世界的な従業員経験プラットフォームを提供するCulture Amp社の「The 5 secrets to reducing employee turnover」を日本の読者様向けに訳したものです。
目次
- 1.) 適切な評価を行う
- 2.) 採用スケジュールを透明化する
- 3.) 共感力のあるマネージャーを育成する
- 4.) ステイ・インタビュー(定着面談)の実施
- 5.) 従業員が辞める理由を見直す
- 従業員の離職を予測・抑制するためのキーとは
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ある従業員の退職をきっかけに、同じチームや部署で離職が連鎖的に起こることがあります。たとえば、慕われていたマネージャーやシニアリーダーが去ったあとに急に退職者が増える場合や、残った従業員が新しい肩書きも昇給もないまま、退職者の仕事を引き継ぐことを余儀なくされる場合などに、離職が加速しやすいのです。
「大退職時代」と呼ばれる今、企業が従業員のリテンションを最優先に考えることで、止まらない離職の連鎖を食い止めることができます。
では、どうすれば優秀な人材を確保できるのでしょうか?
離れていく人に目を向けるのではなく、残っている人にこそ注目しましょう。離職の影響を受けている従業員の声をしっかりと聞き、彼らのモチベーションを維持し、燃え尽き症候群にならないように配慮するのです。ここからは、離職率を下げ、従業員が幸せを感じながら働ける組織をつくるためのヒントをご紹介します。
1.) 適切な評価を行う
ある従業員が会社を離れると、その人が担当していたプロジェクトや業務が一時的に他の従業員に引き継がれることは珍しくありません。多くの場合、従業員は短期間であれば追加の仕事に対応できますが、採用スケジュールが長引いたり、一時的に中断したりすると、その我慢も限界に達してしまいます。こうした状況では、追加の業務をどれくらいの期間担当してもらう必要があるのか、従業員の期待値をきちんと調整することが大切です。
なぜ期待値の調整が重要なのでしょうか?Culture Ampのデータによると、従業員が仕事を辞める主な理由のひとつに「自分の役割や会社からの期待が曖昧であること」が挙げられています。空いたポジションを補充するまでの数週間だけ新しい業務を任せるのと、期限を決めずに業務量を2倍にするよう依頼するのとでは、まったく状況が異なります。後者の場合は、従業員の追加の努力に見合うように、新しい役職や昇給、あるいは一時的なボーナスを付与するなどして、その貢献を正当に評価することが大切です。また、退職した同僚の穴を埋める形でステップアップし、成果を上げた既存メンバーを昇進させるのも、チームを活性化させる良い方法と言えます。
昇進や昇給が難しい場合でも、少なくとも期待以上に頑張っている従業員をきちんと認めることが大切です。彼らの努力をしっかり把握し、その貢献を高く評価している旨を伝えましょう。そうすることで、彼らは組織から大切にされていると感じ、他の場所で新しい役職を探す可能性も低くなります。
2.) 採用スケジュールを透明化する
退職する従業員の後任を採用する予定があるなら、チームメンバーに対して定期的に採用の進捗を共有しましょう。同僚が退職したことで余分な業務を抱えている従業員は、「この追加業務をいつまで続ければいいのか」と不安を感じているかもしれません。こうした不安を和らげるには、採用プロセスがどう進んでいるのかをタイムリーに伝えることが効果的です。特に面接選考に関わっていないメンバーには、どの段階まで進んでいるのかを知らせるようにしましょう。また、可能な限り採用のミーティングや面接にチームメンバーも参加させ、将来一緒に働くメンバーを選ぶ過程に関与できるよう配慮すると、チームの納得感が高まります。
何週間も採用に関するアップデートがないままだと、従業員の士気は下がりやすくなります。「オンライン面接を実施中」「社内面接を調整している」「課題提出の評価中」「リファレンスチェックを進めている」など、具体的な進捗状況を共有しましょう。チームを常に情報のループに入れておくことで、「この状況がいつかは解消される」という見通しが立ちやすくなり、彼らが退職を考えるリスクを抑えることにつながります。
3.) 共感力のあるマネージャーを育成する
変化は人によって受け止め方が異なるため、チームのニーズをきめ細かく把握できるマネージャーが会社に必要です。特に従業員が退職した後は、この共感力がいっそう重要になります。
多くの企業が管理職ーマネージャーのテクニカルスキル(専門的な技術や知識)向上に力を入れる一方、パンデミックによってソフトスキル(人間力やコミュニケーション能力)の価値が改めて注目されています。変化の時期において、共感を軸にリードできるマネージャーは、チームの声をしっかりと聞き、全員がサポートされていると感じられる環境を作りやすいのです。従業員が「仕事が多すぎて手が回らない」と感じている場合、マネージャーは仕事量を調整したり、タスクの優先順位を見直したり、集中作業の日を設定してミーティングを入れないようにするなどの工夫ができます。さらに、必要に応じて従業員のためにリソースを確保し、彼らが成功するための環境を整えるのもマネージャーの大切な役割です。
共感力のあるマネージャーがいるかどうかは、人材の確保に大きく影響します。もともと高い共感力を備えている人もいれば、他者のニーズにもっと目を向けるための指導が必要な人もいます。Culture Amp社の「Skills Coach(スキルコーチ)」は、行動科学と段階的な反復学習を用いて、マネージャーが新しいスキルを着実に身につけられるよう支援するツールです。短時間で実践しやすい演習を取り入れることで、多忙なマネージャーでも新たなスキルを日々の業務で実践し、自身のコーチングやリーダーシップに意識を向けやすくなります。チームの状況をしっかりと把握し、共感をもって導けるマネージャーを育成することは、従業員の体験向上と離職率の低減に大きく寄与します。
4.) ステイ・インタビュー(定着面談)の実施
もしチームの士気が落ちていると感じたら、直属のマネージャーやさらにその上の管理職に、部下との「ステイ・インタビュー」を行うよう依頼しましょう。(ステイ・インタビューとはとは、すでに在籍している従業員が「なぜ会社に留まろうと思うのか」「職場にどんな改善を求めているのか」を確認し、組織の定着率を向上させることを目的とした面談です。従業員が抱える課題や希望を直接ヒアリングすることで、企業側は働きやすい環境づくりやキャリア支援の取り組みを強化し、優秀な人材の離職を防ぎやすくなります。)これらの面談を通じて、マネージャーやあなた自身は、各チームメンバーが「自社で働くことにどんな魅力を感じているのか」「もし可能ならどんな点を変えたいと思っているのか」を把握できます。また、メンバーの考え方やキャリア志向をより深く理解し、将来的に退職を検討しそうな従業員を早期に把握することもできます。
その情報を踏まえて、マネージャーは従業員がより働きやすい環境を整え、会社に留まりたいと思ってもらえるよう全力を尽くせるでしょう。たとえば、本人が興味を持つ新しいプロジェクトを任せたり、業界のカンファレンスに参加させたり、フレックスタイム制を導入したりなど、具体的な施策が考えられます。従業員一人ひとりが求めるものは異なるため、ステイ・インタビューを活用して「従業員がキャリアにおいてどんな目標を持っているのか」「その目標を達成するために自社はどうサポートできるのか」を確認し、最適な支援を提供しましょう。
5.) 従業員が辞める理由を見直す
同僚の退職をきっかけに、自分自身の仕事や長期的なキャリア目標、会社で感じるやりがいについて改めて考える従業員は少なくありません。Culture Ampの調査によると、従業員が離職を決断する最も一般的な理由は以下の3つです。
- プロとしての成長機会の不足
- 自分の役割や会社からの期待が曖昧であること
- 十分なインクルージョン(包容力)がないこと
これらの要素に着目して改善策を講じることで、離職を減らし、従業員が長く働き続けたいと思える組織づくりにつなげることができます。
ステイ・インタビューの結果を基に、従業員が離職を検討しそうな問題を特定し、対策を講じましょう。ここでは一般的な離職理由と、それぞれへの対処法を3つご紹介します。
- プロフェッショナルとしての成長不足:従業員が自分は成長していないと感じている場合は、チャレンジングな新プロジェクトを与える、研修プログラムに参加させる、カンファレンスに派遣する、あるいはメンターを見つけて新たなスキルを身につけられるよう支援するといった方法を検討してください。これらのスキルは、従業員のキャリアを次の段階へ引き上げる助けとなります。また、社内でどのようなキャリアパスが存在するかを案内し、従業員が将来の機会を理解し、昇進に必要なスキルや経験を明確に把握できるようにすることも有効です。
- 役割への期待が不明瞭: 従業員が新たに与えられた一時的な職務に関する期待について混乱している場合は、明確化が不可欠です。従業員の上司がキャリアに関する面談を設定し、従業員と一緒に明確な職務記述書を作成してください。そうすることで、従業員が自分に求められていることを正確に理解し、今後の業務をどのように優先すべきかを把握できるようになります。
- 仲間意識が低い: 従業員が自分はチームの一員だと感じられない場合は、その貢献を認め、より協力が必要なプロジェクトを割り当て、チームとして成果を祝う機会を作り、仕事以外の時間を増やして互いをよく知れるようにするなどの対策を講じてください。チームメンバーを毎年行われるダイバーシティ研修や、すべての従業員が自分らしくいられる文化を育むための研修に参加させるのも有効です。
従業員一人ひとりの状況は異なるため、これらの話し合いにはケースバイケースで臨み、それぞれの従業員が成長し、あなたの会社で長期的に成功できるような職場環境を整えていきましょう。
従業員の離職を予測・抑制するためのキーとは
大辞職時代であっても、従業員の離職を防ぐことは可能です。御社は今すぐ行動を起こして、従業員のエンゲージメントと定着率を高めることができます。弊社の最新eBook「5 ways to help retention (now)」を活用して、優秀な人材を満足かつ意欲的に働かせ続けるための方法を見つけてください。このeBookでは、人事の専門家やオピニオンリーダーが実践している5つのヒントを学ぶことができ、高い離職率のサイクルを断ち切り、カルチャー・ファーストの体験を築く上で大きく役立ちます。
*以下は英語のe-bookです。
Employee retention eBook | Culture AmpThe Great Resignation is already underway, but extreme turnovwww.cultureamp.com
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ラボラティック株式会社 広報担当